家を手放すのは自己破産前?自己破産後?疑問にお答えします!


「自己破産をしたいが持ち家はどうなる?」

「自己破産をしても持ち家に住み続けたい」

「持ち家を手放したら、どこに住めば?賃貸は借りられる?」

「自己破産をする前に気を付けることはある?」

 

など自己破産が持ち家に及ぼす様々な影響について、心配な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そもそも「自己破産」とは、全ての借金と資産をゼロにするという手続きです。
裁判所に破産申立書を提出し、自身の借金総額と収入、資産等のプラスマイナスの状況を踏まえ、今後の生活で支払い不能と判断された場合にのみ自己破産が認められます。

その過程で、持ち家は資産として捉えることになり、原則は手放さなければなりません。
もちろん、住宅ローンの残債(負債)がある場合でも手放すことになります。

持ち家があるとき、持ち家からの退去は「自己破産の手続きの前」なのか、「手続き後」でいいのか、一般的にはよく知られていませんが、それによって破産に掛かる費用や期間が変わってきます。

また、自己破産前に持ち家の処分をすることで、ご自身の負担や残債の検討方法なども変わります。

そのため、今回こちらの記事では自己破産に伴う持ち家の影響や自己破産前に売却をした方がよい訳をご説明します。

少しでも不安を払拭できた状態で、弁護士などに自己破産の相談をできるようにしましょう。

 

自己破産するには持ち家の売却が必要

破産者の財産は破産管財人によってお金に変えられ、債権者に配当されることになります。

そのため、自己破産をするには原則として持ち家の売却が必要なのです。

破産者は、全ての財産を失う訳ではありませんが、破産者が残せる「自由財産」に不動産は含まれないので、自己破産をすると原則として持ち家を失うと考えておくべきです。

 

※自由財産とは…破産者が自由にできる(残せる)財産という意味です。

この自由財産に該当する財産は、
1. 破産開始決定後に破産者が得た財産(新得財産)
2. 差押禁止財産(生活家電等)
3. 99万円以下の現金(預金)
4. 自由財産拡張が認められた財産
5. 破産管財人が破産財団から放棄した財産

が挙げられます。

例外的に、土地価格の低い山奥や田舎の住宅や山林の土地など、競売を行ったとしても買い手の見つからないような極端に価値の低い不動産は、破産者の手元に残してもらえる可能性もあります。

 

自己破産は負債と資産をゼロにすること

つまり、自己破産とは「負債と資産をゼロ」にすることです。

どうしても借金返済の見込みがない状態であると(支払不能)裁判所に認めてもらうことで、法律上、借金の支払い義務が免除される手続です。

自己破産をすると、原則として借金を支払う義務がなくなりますが、持っている資産=不動産は換価して払える分は債権者に分配しなくてはいけないのです。

ちなみに、家を残したい一心で、「自己破産を申立てる前に所有者名義を身内などに変えればよい」と思うかもしれませんが、自己破産をする以上、法律に則って手続きを進める必要があるため、そのような脱法的行為は許されません。

財産を不当に隠す目的で別の人名義に変えられた場合、裁判官はそれを取り消す権限があります。
場合によってはこのような行為が悪影響となり、借金の返済義務の免除が認められないリスクもあるため、勝手に手続きをすることはお勧めできません。

 

自己破産の手続き前に売却すべき

持ち家の売却は、自己破産の手続き前に行った方が有利になるケースが多いです。

一般的に、持ち家がある状態で自己破産をしようとすると、管財事件と呼ばれる破産手続きとなり、余計な費用と手間が発生することになってしまうからです。

それとは逆に、持ち家など資産が無いときは同時廃止という破産手続きにできる可能性があります。

債権者に配当すべき財産がないことが明らかで、かつ、借金を抱えるに至った事情に破産法上の問題が見当たらない場合に、債権者への配当手続を進める必要がないとして、破産手続(換価・配当)を行わず、破産手続を廃止することになります。

つまり、自己破産の手続き前に売却をしておくことで、同時廃止で手続きができれば破産管財人はつきません。
その管財事件に関わる費用を抑えられるので、持ち家(資産)は先に売却することが良いといわれるのです。

 

※同時廃止とは…

破産手続は、管財事件を原則としています。

ただし、破産手続を開始する段階で(弁護士に相談・依頼をした段階)既に、破産手続の費用を支払うだけの財産もないことが明らかであるときには、コストが無駄になるおそれがあります。そのため破産手続開始と同時に手続を廃止にしてしまうということです。

同時廃止事件では、破産手続の開始と同時に破産手続は終了しますので、当然、破産管財人が選ばれることもありません。

※ただし、持ち家がなければ必ず同時廃止になるわけではなく、状況に応じて裁判所が判断するため一概にも言えません。また、この基準は各地域の裁判所によっても異なります。

 

住宅ローンがある場合は任意売却を検討する

また、自己破産前に売却をしたくとも、住宅ローンの残債がある場合は銀行の承諾が必要になります。
このときは任意売却を検討しましょう。

 

自宅の資産価値が住宅ローンの残債を下回っているオーバーローンの状態では、抵当権を外せないため、そのままでは売ることができません。

(オーバーローンに関して詳しくは>こちら

 

そこで債権者と調整を行い、同意を得たうえで一般市場で売却することを任意売却といいます。

任意売却であれば、引越しの費用を認めてもらえることもあり、退去の時期も相談しながら進めることが可能です。

任意売却に向けた活動から実際に退去までは数ヶ月~1年ほど期間がかかることもあるので、自己破産前に落ち着いて引っ越しを検討できるメリットもあります。

このように任意売却であれば、住宅ローンが残っているから自己破産前に売却できないということではなく、債権者からの売却の同意を得られれば売却できるのです。

(任意売却とは?詳しくはこちら>>)

 

競売にかけられてもすぐに退去する必要はない

自己破産の前に家を任意売却せず、あとで競売にかけられたとしても直ぐに出ていく必要はありません。

任意売却する前に自己破産手続きをすると、資産である持ち家は競売にかけられます。

競売にかけられた住宅が売却されるまでは、執行官が訪れるなど手続きに約4~6カ月はかかるため、落札されるその日までは、住宅に住み続けることができます。

落札され所有権が移転した後は、それ以降その住宅に住み続けると不法占拠となってしまいます。
そのため、所有権移転後までに引っ越す必要がありますが、自己破産手続きから相当な期間はあるでしょう。

 

持ち家をリースバックして住み続けることも可能

自己破産前であれば、持ち家をリースバックして住み続けることができる可能性もあります。

リースバックのメリットは、引っ越しの必要がなく、今まで通り自宅での生活を継続できます。

一般の売却・任意売却では、当然引っ越しが必要ですが、環境が変わることや時間と費用が掛かかるため、可能であるならばリースバックという選択も考えてみましょう。

 

リースバックとは自宅を売却して賃貸すること

リースバックとは、簡単に説明すると自宅を売却して、買い手から賃貸として借りることでそのまま住み続ける方法です。

不動産をリースバック業者や投資家に売却、同時に賃貸借契約を締結し、家賃(賃料)を支払い、その不動産に住み続けられる仕組みになっています。

これによって、家が自分のもの(資産)ではなくなるため、自己破産をしても賃貸借契約を継続すればそのまま住み続けることができます。

また、ご自宅はそのままの状態で売買を行うため、リフォームを行う必要がなく、直ぐの売買取引を行えるなど利点があります。

ただし、リースバックにおける売却金額は、周辺相場より引くなることが多く、物件にもよりますが一般的に周辺相場の70~80%程度になります。

周辺相場よりも低くなる取引価格で抵当権が抹消できる(または抵当権のない)物件であれば成立しますが、残債額の状況によって、リースバックはできないことも多いので注意が必要です。

リースバックとは?詳しくはこちら>>

 

リースバックしたときの家賃を払えるか

リースバックしたときの賃料は売却額に応じて変わります。つまり、家を高く売れば売るほど家賃も高くなるのです。

そのため、物件によってはその地域の賃貸物件の賃料相場よりも家賃が高くなってしまうケースもあります。

リースバックを検討する場合は、まずはリースバック会社に売却額と家賃の査定をしれもらい、自己破産をした後にその家賃を支払っていけるのか現実的に考えなくてはなりません

 

自己破産前にリースバックを行う

次にリースバック成立が可能であれば自己破産前に売却しましょう。

1章でも触れましたが、自己破産後であると、原則破産管財人がつき競売へと手続くきが行われます。
競売は、粛々と手続きが進められ、破産管財人がついた時点で、換価する方法は管財人の判断です。

そのため、少しでもリースバックを検討しているのであれば、自己破産前に取引を成立させましょう。

なお、このリースバック交渉時に「どうせ破産するから、あえて安い価格で自宅を売却して家賃を抑えたい」と考えることは詐害行為に該当し、後で取り消しとなる恐れもあるため、取引時は専門会社に依頼するようにしましょう。

 

自己破産しても賃貸を借りて住むことは可能

さて、最後に自己破産後の住む場所がない場合どうしたら良いのかという疑問にお答えします。

不安になる方も多いですが、自己破産をしたとしても、賃貸に住むことはもちろん可能です。

自己破産をすると住む場所も持ち物も全て奪われると勘違いされがちです。
一部契約できない物件もできますが、どこも借りられないということはありません。

このとき、家財・家電などは、生活必需品として分類されて残せることや、現金・預金も少しばかり手元に残すことも可能なので引越し後に生活の準備をしっかり整えることもできるはずです。

そのため、自己破産をしたら「終わり」ということではなく、あくまでも生活再建の一歩として部屋を借りることになります。

 

信用情報に傷があっても賃貸住宅は借りられる

自己破産により信用情報に傷があっても賃貸住宅は借りることができます。

賃貸物件を借りる際、大家さんや保証会社の審査があります。
ただしこの審査の内容は、支払い能力があるのかを一番の基準にしています。

安定した収入があり、毎月の家賃が払えるということが重要であり、勤務先や勤続年数、年収などが審査基準です。
家賃に対して払える収入が確認取れれば賃貸を借りられることになります。

注意点としては、自己破産前に滞納をしてしまった銀行や保証会社の履歴がある場合は、保証会社によっては審査が通らないことがるということです。

そのため、自己破産をした場合は、信用情報機関に加盟していない独立系と呼ばれる保証会社を選ぶとよいでしょう。

独立系の保証会社であれば、自己破産の情報はチェックされていない可能性が高くなり、現在の収入で契約をすることができるのです。

また、UR賃貸や市営住宅・県営住宅は自己破産をしていても審査に影響ありません。

自己破産はあくまでも再出発のための手続きですので、自己破産をしたからといって住む場所がなくなるということはありませんのでご安心ください。

 

信用情報が回復すればローンを組むことも可能に

信用情報が回復すればローンを組むことも可能になります。
自己破産をすると約5~10年間、指定信用情報機関に事故情報が掲載されるため、新たな借り入れはほぼ不可能になります。

信用情報回復後は、クレジットカードを作成したり、新たなローンも組めるようになります。
そのため、借入期間は注意が必要ですが新たに住宅の購入も考えることができるようになります。

自己破産後に住宅ローンを組みやすくするポイントとしては、自己破産した時に借りていた金融機関は避けることにはなりますが、頭金の組み入れやフリーローン等、様々な方法により借り入れは可能になるでしょう。

 

まとめ

さて今回は、自己破産した場合の家に伴う疑問を解説しました。

持ち家は資産であるため、原則手放さなくてはいけませんが、自己破産前であれば、リースバック(賃貸として住み続ける)を検討することや、任意売却を選択して、少しでも転居費用や破産費用を抑えることが望めます。

持ち家がある場合は、すぐに自己破産するのではなく、資産の売却・換価の方法を専門家に相談しながら進めていくのが良いでしょう。

無料相談実施中!

当サイトの記事をお読み頂いても問題が解決しない場合には専門家にご相談頂いた方がよい可能性があります。

ご相談は無料ですのでお気軽にライフソレイユまでお問い合わせください。