住宅ローン滞納3か月はどうのような状態?自宅を守る方法とは?


住宅ローンは、金融機関と分割で返済をする契約をした「借金」です。
多くの方は20~35年の長期で組まれているのではないでしょうか。

35年という長い期間では、自身の環境や経済状況に変化が生じるため、様々な理由で支払いが遅延してしまうこともあるかもしれません。

しかし、1~2ヶ月滞納したとしても、実は大きな問題にはならない場合がほとんどであり、銀行からは「住宅ローンの引き落としができていませんので、期日までに入金してください」という電話や督促状が届くのみであることが多いです。

ただし、住宅ローンを3カ月以上滞納すると、銀行から電話や郵便で何度も連絡が入るようになりますので、その際にきちんと返済をするか等の対処をしておかなければいけません。

何も対処せず放置していると、金融機関としては返済が不可能であると判断して「期限の利益の喪失」の手続きを始め、残りの住宅ローン(残債)をすべて一括で回収しようとしてきます。

では、この期限の利益喪失とはどんなものなのか、また住宅ローン滞納で何が変わってしまうのかを段階的に説明します。

併せて、実際に滞納してしまっている場合にはどんな対処方があるのか、また既に滞納が3カ月以上の方も今後どのような行動をしたらよいのかを確認しましょう。

 

住宅ローン滞納3か月以上で期限の利益を失う

住宅ローンの滞納で非常に大切なポイントは、滞納3か月以上で期限の利益を失うということです。

支払いの遅れがまだ1か月ほどであれば、銀行から支払い催促を受ける程度で済みます。
ただし、滞納が続き携帯電話への連絡なども無視していると、銀行は債務を回収するためにこの時点で、代位弁済(保証会社へ債権の移動)を行い、今度は保証会社から一括返済の請求がきてしまうのです。

 

滞納3カ月は督促、催促書が届く

滞納3カ月は督促、催促書が届く期間です。

流れとしては、期日までに滞納分の入金がない場合は「督促状」が届くケースが一般的です。

「滞納している住宅ローンを期日までに入金してください」という内容です。

次に督促状の期日を過ぎても、住宅ローンの滞納分の入金がされない場合は「催告状」が届きます。
催告状は、1~2ヶ月滞納していたときの督促状の内容と似たようなものにはなりますが、このまま滞納を続けると法的処置に訴えるという厳しい内容に変わってきます。

通知書の内容は一読では難しく、わかりづらいのですが、簡単には「これ以上滞納を続けると残債を一括返済しなくてはならず、一括返済できないと自宅を競売にかけますよ」ということが書かれています。

また、継続して住宅ローンを滞納すると、個人信用情報機関に金融事故情報として記録されることになり、ブラックリストという扱いになります。
この記録が残ってしまうと、新たにローンを組むことが難しくなります。

 

「期限の利益喪失」の通知が届き代位弁済となる

それ以上に滞納が続いてしまうと、ついに「期限の利益喪失」通知が届き、残っている住宅ローンをすべて一括請求されてしまいます。

そしてこれを支払わないと、保証会社へ代位弁済されます。
代位弁済とは、今まで回収業務を行っていたのは銀行でしたが、窓口は保証会社に代わったということになります。
以後、保証会社は住宅ローンの回収をするために通知書を送ってきますので確認するようにしましょう。

※この期限の利益喪失する時期は金融機関ごとに多少異なり、一般的には6か月の滞納で行われますが、滞納3カ月以上で早々に切り替わってしまうこともあります。

(類似記事>期限の利益喪失とは?

 

住宅ローンの一括返済を求められる

保証会社は、住宅ローンの残債を債務者の代わりに銀行に一括で返済しており、新たな債権者になります。
そのため保証会社は、債務者に住宅ローンの残債の一括返済と遅延損害金の支払いを求めてくるのです。

ちなみに、代位弁済先は金融機関により異なり、保証会社の考え方等には違いがあるため、後述する任意売却の時にも影響します。必ずしも任意売却が可能になるというわけではないため、相談時には専門家に確認しながら進めましょう。

(更に詳しくはこちら>一括請求とは?

 

期限の利益を失うと後戻りはできない

そして、期限の利益を失うと後戻りはできません。

こうなってしまうと、「滞納した月をまとめて払うので、もう一度分割で払いたいで。」と伝えたところで手遅れであり、元のローンの支払いは認められず、さらには信用情報に傷があるため、借り換えなどもできなくなります。

住み続けたい場合は「期限の利益喪失」をしないように返済しなくてはいけないのです。

 

高額な遅延損害金が発生する

さらに、このとき遅延損害金が発生し、非常に高額な請求になっています。

住宅ローンの滞納は、通常の返済額に加えて「遅延損害金」というペナルティが発生していますが、この遅延損害金は、住宅ローンの残債に対して14%程度上乗せされるケースが一般的です。

住宅ローンを1、2カ月返済が遅れただけでは、滞納している分に対する利息となるので、金額は大きくはありません。

しかし、滞納が続いて、期限の利益を喪失してしまうと、滞納分だけでなく残債の全額に対して遅延損害金が計算されるようになります。

仮に、残債が1500万円あれば1カ月遅延すると18万円程の損害金になるのです。

つまり、住宅ローンを月々で支払っていた場合と比較すると、遅延損害金が膨れ上がり、残債に上乗せされてしまいます。
そのため、住宅ローンの一括返済や代位返済の通知書が届いた場合は、一刻も早く、専門家に相談する必要があるのです。

 

一括返済できなければ競売になる

そして、このまま一括返済できなければ競売になります。

代位弁済が行われてから、競売が申し立てられる期間は保証会社によって異なりがあります。
通常は、代位弁済がされてから競売の申し立てまで、2カ月~半年ほどの期間ですが、任意売却を申し出ることでこの期間を延ばすことが可能です。

競売をするには競売の申し立てが必要なため、突然追い出されることはありませんが、そのまま住み続けることはできなく、粛々と手続き通りに進み、落札されたあとは家を出なくてはいけません。

 

競売とは強制的に売却されること

競売とは強制的に売却されることです。

裁判所から「競売開始決定通知」が届くと、金融機関また保証会社からの申し立てにより競売手続きが開始され、不動産を担保として差し押さえたことを意味しています。

またこのとき、競売に向けて現地調査が行われますが、裁判所の執行官と不動産鑑定士が競売の基準価格を査定するため、家に訪れます。

立ち合いは必須ではありませんが、拒むことはできないため、なるべく自宅にいるようにし、自宅周辺の調査や自宅内の確認・写真撮影などに協力するようにしましょう。

その後は競売サイトに自宅の情報が載ることになり売却期間がスタートされます。

 

競売の開札から強制退去までの期間は2カ月

競売の開札から強制退去までは残り2カ月くらいです。

競売開始後は裁判所の流れに沿って進み、落札(開札)されると、所有権が落札者に移ります。

所有権の手続きなどで3~4週間ほど時間は掛かりますが、競売の開始から考えると2カ月後くらいには落札者より立ち退きを請求され、退去することになります。

 

残された残債は返済または債務整理をする

残された残債は返済または債務整理をすることになります。

競売による売却の後、住宅ローンの残債から競売での落札価格を差し引いた金額がそのまま債務として残っています。
住宅ローンの権利を失ったとしても、残された債務は払わなくてよいという状態ではありません。

残った債務については保証会社(債権回収会社)との話合いになります。

「毎月いくら返済していくのか?」という話し合いを行うわけですが、一般的には「合意した内容・毎月の返済額をしっかり約束を守ってもらい再生してもらいたい」という思いで金融機関は話合いを行います。

他には、この残された債務を専門家に依頼することで債務整理という方法も取ることができます。
債務整理はご自身の環境や資産によって最善の方法が変わってくるため、専門家に相談しながら進めることになるでしょう。

(類似記事>競売開札後の流れ

 

万が一滞納してしまったときの対処法

2章では、万が一滞納してしまったときの対処法をお伝えします。

滞納してしまったので怖いからと金融機関の連絡に対して、電話に出ない等、無視をすることはしてはいけません。
金融機関側の対応が強硬になる原因となってしまいます。

 

①銀行へ相談:滞納3カ月であればまだ間に合うこともある

まず、滞納3カ月であればまだ間に合うこともあるため、銀行に相談をしましょう。

現在の毎月の返済額が継続できないと判断した場合は、返済期間の延長など、一定期間返済に猶予をもらうリスケジュールの相談に応じてくれるケースもあります。

 

②リースバック:延滞金を含めて滞納を返済する

すでに何ヶ月かの滞納があり、そのぶんを支払うことができないとしても、銀行側は延滞金を含めて返済してもらえれば問題はありません。

そのため、少ない可能性ではありますが、リースバックを検討してみるのも手です。
延滞をしてしまっている分も含めて完済できる金額で成立できるかがポイントですが、所有権が無くなっても賃貸として住み続けることができます。

(類似記事>リースバックとは?

 

③不動産売却:損害金など膨れ上がる前に売却の相談をする

住宅ローンを滞納し続ければ、いずれ物件は競売にかけられ、結果的に家を失ってしまいます。

しかし、通常の売却であれば手元にお金を残せる可能性もあるため、早めに判断することで家を失ってしまったとしても資金を残せる可能性があり、滞納6ヶ月までに売却を決意するのかは非常に重要な判断になります。
遅延損害金が膨れ上がれば通常売却の可能性は低くなってしまうでしょう。

いずれにしても、オーバーローンという残債が物件価値を上回る場合は、通常売却はできないため、早めに相談しましょう。

(類似記事>競売は取り下げられる?

 

期限の利益を喪失してしまったら任意売却を行う

通常売却もできず、期限の利益を喪失してしまったら任意売却を検討しましょう。

競売であると、通常売却に比べ6~7割ほど安く売却が成立してしまうこともあります。
そのため、競売で得るお金は少なく、債権者に支払われてもなお、多くの残債が残ってしまう恐れがあります。

つまり、競売でも残債が帳消しになるのではないため、できれば競売を避け任意売却がいいといわれています。

(類似記事>任意売却とは?

 

競売を避けるために行う任意売却

競売を避けるために行う任意売却を説明します。
任意売却とは、オーバーローンであっても債権者に売却の許可をもらえるように交渉します。

通常の査定方法と同じですので、市場価格に近い売却額で住宅を処分することができるのです。

任意売却のメリットを簡単にまとめると、
1.通常の売却サイトに載せる為、売却理由を近所に知られない
2.競売の費用を払わなくていい(70万~80万円程)
3.競売より高く売却できる
4.引き渡しの時期を考慮してもらえる 

 5. 引越代金・諸経費用等が捻出してもらえることもある

とメリットはたくさんあります。

(関連記事>任意売却に掛かる費用

 

任意売却後は債務整理を検討する

そして、任意売却後に大切なことは債務整理を検討することです。
競売と同じく、ローンの残債を減らせても残っている債務を分割で払うのか、債務整理をするのかを考えなくてはいけません。

債務整理については専門家に相談しながら行いますが、売却後スムーズに移行できるように、事前に相談しておくと良いでしょう。

 

まとめ:任意売却は専門家に相談する

住宅ローンを遅延してしまった場合の流れと滞納の予防について説明いたしました。

基本的には住宅ローンを遅延したら、すぐに銀行へ連絡して、早めに支払うことが鉄則です。
リスケジュールなどをしても改善の見込みがない場合は、売却や任意売却も検討していくことになります。

このとき、任意売却は手続きや交渉が複雑になるため、専門としている業者に依頼するようにしましょう。
まだ、滞納していても競売を避けることができるため、少しでも早く相談することも大切なポイントになります。

 

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