競売だけは絶対に回避!任意売却と競売の違いを専門家が解説!
「住宅ローンの返済が苦しくなり、返済を続けることが出来ない。」
「住宅ローンの滞納が続いてしまっている。」
このような状況に陥ってしまってしまうと、最終的には自宅が競売で強制売却されてしまいます。
自学が競売に掛けられてしまうと、それを避けるためには住宅ローンを一括返済するか、「任意売却」をするしかありません。
競売でも任意売却でも自宅を売却することに変わりはありませんが、一般的には任意売却の方が「高く売れる」「プライバシーが守られる」「引越し代がもらえる」などメリットが多いとされています。
では、具体的に競売と任意売却では何が違うのでしょうか。
今回は任意売却と競売の違い、それぞれのメリットとデメリット、流れや注意点などをご説明していきます。
目次
任意売却と競売の違い
どちらも金融機関からの住宅ローンの返済ができない状態で不動産を売却することですが、両者には様々な違いがあります。
最大の違いは、競売は裁判所により強制的に売却されるのに対して、任意売却はあくまでも自分の意志と責任で売却をするという点です。
そして、競売には様々なデメリットがあります、まずは下記の表で任意売却と競売の違いを確認しましょう。
任意売却のメリット
市場価格に近い価格で売却することが可能
任意売却のメリットは、市場価格(相場)で売却することが可能であることで、これが競売との最大の違いでもあります。つまり、普通に家を売るのと同じ価格で売ることができるのです。
一方、競売の場合は市場価格の7~8割程度になってしまうことが多いです。
その結果、任意売却であれば競売より高く売れることが多く、より残債を減らすことになるため、その後の債務負担が軽くなります。
事情を知られずプライバシーが守られる
任意売却は、一般的な販売方法と同じになるため、外から見ると普通に家を売っているのと変わりません。
そのため、住宅ローンを払えなくなったという事情を周囲に知られることが無く、プライバシーも守ることができるでしょう。
一方、競売の場合は、その家が競売に掛けられたことがインターネット上で公開されるため、近所や会社などに事情が知られてしまう可能性が高くなってしまいます。
引っ越し費用の負担が認められる
任意売却では、売却価格の中から引っ越し費用の負担が認められることがあります。
一方の競売では引越費用は一切受け取ることができず、強制的に退去させられてしまうため、精神的にも経済的にもダメージも大きくなります。
任意売却のデメリット
信用情報には傷が入る
任意売却のデメリットは、任意売却を行う過程で、信用情報には傷が入る(ブラックリスト載る)ことです。
ただし、通常であれば滞納が4~6ヵ月続いた段階で信用情報には傷が入るため、任意売却をしたから傷が入るという訳ではなく、任意売却する段階ではすでに信用情報に傷が入っていると言えます。(そのため、競売でも信用情報には傷が入ります)
必ず任意売却が成立するわけではない
任意売却は必ず成立するものではありません。あくまでも債権者(住宅ローンを貸している銀行やその保証会社)の同意が必要です。
また、すでに競売が競売開始決定がなされている場合には、競売の開札までの期間が任意売却を行うことができる期間です。この限られた時間内で売却先が決まらない場合には競売となってしまうことも忘れてはいけません。
(詳しくはこちら>任意売却の本当のデメリット)
競売のメリット
競売のメリットはほぼない
競売のメリットはほぼないのですが、あえて挙げるならば競売の開始決定後も、しばらくの間はそのまま住んでいることができるという点です。
場合によっては、数ヶ月ではありますが任意売却よりも長く家に住んでいることができます。
しかし、競売になってしまった以上は長くは住み続けられず、結局は立ち退かなくてはいけません。
競売のデメリット
市場価格より2~3割ほど低く落札される
競売のデメリットは、市場価格より2~3割ほど低く落札される可能性が高いことです。
つまり競売後の残債が多く残ってしまうため、この債務の返済が負担となり、最悪の場合は自己破産という選択に繋がることも多くなります。
引っ越し費用などの交渉が一切できない
次に、引っ越し費用などの交渉が一切できないということです。
競売落札者が負担してくれることはないため、立ち退き命令が出たら、その日までに自身で引越し先を探し、自己負担で家を出ていかなくてはいけません。
裁判所によって一般に公表される
さらに、競売の開札がされると、裁判所によって一般に公表され、インターネットにも掲載されます。
こうして公表がされている期間は、競売で入札したいと考えている業者や一般の方が物件の確認に訪れることもあるかもしれません。
もちろん、勝手に敷地内に入ることはできませんが、競売物件であるということが周囲に知られてしまうことになります。
任意売却の仕組みと流れ
任意売却とは?
それでは、任意売却にについてもう少し詳しく説明します。
任意売却とは、「住宅ローンを滞納していても、市場価格で不動産を売却して競売を避ける方法」です。
住宅ローンの支払いが苦しく、自宅を売却したいと実際に不動産査定に出してみると、思っているより不動産の価値が低く、売却価格のほうが住宅ローンの残高を下回っていることが多くなります。
なぜなら住宅ローンの残債が減るスピードより、住宅の資産価値が落ちる方が早いからです。
このような状態をオーバーローンと言い、債権者の抵当権が残っている状態の為、通常売却はできません。
または既に滞納が続いてしまい、既に一括返済を求められている場合も同様です。
そこで債権者に交渉し販売を認めてもらうことで「任意売却」が出来るようになるのです。
ポイントは、以下の2点であり、一般市場での販売活動ができます。
① 住宅ローンを既に滞納していても売却ができる
② オーバーローン状態でも売却できる
また、任意売却は通常売却と同じく、売買契約が成立になれば成功報酬としての仲介手数料は発生しません。
この仲介手数料は債権者が受け取る売買代金のなかから配分されることなどからも、手持ちがなくても依頼することができます。
(詳しくはこちら>任意売却について)
任意売却の流れ
続いて任意売却の流れは下記の図の通りです。
任意売却の申出をしてから、実際に売却が出来て引越しまでは3~1年ほどの期間があります。
販売期間は約2~6ヶ月となり、最長でおおよそ6ヶ月と聞くと長く感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、この間に引越しの手筈を整え、購入者が見付かれば引渡しに必要な書類の準備を行なう必要がありますので、しっかりと流れを把握して進めていくことが必要になってきます。
(詳しくはこちら>任意売却の流れ)
競売の仕組みと流れ
競売とは?
競売とは、債権者が裁判所に申し立てて「強制的に不動産が売却される」ことであり、一般の不動産売却や任意売却とは異なり、官報に記載されオークション形式で落札されることになります。
債権者は、民事執行法に基づき、住宅ローン残債回収のために行われ、抵当権に入っている家を差し押さえ、競売にかけて融資額を回収するために行います。
競売で落札された後はもう住み続けることは不可能です。強制的に所有権は移転しますので、立ち退きは必ず余儀なくされます。
競売の流れ
住宅ローンを滞納してもすぐに競売にかけられるわけではなく、滞納開始から競売による強制退去までは6~1年以上の期間があります。
ただし金融機関から通知が届いても任意売却の手続きをしないままだと、粛々と競売手続きが進められてしまいます。
そうならないためにも、住宅ローンの返済が滞ってしまったら早めに任意売却を希望することを伝えましょう。
(詳しくはこちら>競売の流れ)
任意売却を選んだほうが良い理由
では、競売より任意売却を選んだほうが良い理由をまとめました。
①競売より高く売れて債務を減らすことができる
一つ目は、競売より残債を減らすことができることです。
競売になってしまうと、落札価格は市場価格より2~3割低い金額になることが多く、任意売却であれば一般市場で販売活動が出来る為、売却価格が高くなりやすく、より残債を減らせます。
②競売の事実が周囲に知られない
二つ目は、一般の市場にて販売できるため、競売のように新聞やネットに情報が出されてしまうことで近所に競売の事実が知られてしまうこともありません。
販売活動は一般の売却サイトを利用するため、表向きは一般売却と変わらないのです。
③引越代を確保できる場合がある
三つ目は、引越代を確保できる場合があるということです。
競売となれば引越代費用などをみてもらえることは無く、裁判所から立ち退き日を伝えられて自身で引越しの準備をして出なくてはいけません。
精神的なダメージを考えると、任意売却をして不動産会社に手筈を確認できスケジュールの調整が出来る方がよいでしょう。
④残債務の分割払いができる
四つ目は、売却後の残った債務の分割払いに応じてもらえるということです。
様々な理由で自己破産の選択ができない場合(連帯保証人に迷惑を掛けたくない等)には債権者に残債務の分割払いを認めてもらう必要がでてきます。
これは任意整理という方法になりますが、無理のない範囲で少しずつ返済していくための手続きです。
この方法であれば住宅ローン以外の債務を残すことができるため、自動車を残すことができるなどのメリットもあります。
任意売却の注意点
では、「任意売却」と「競売」の違いを理解した上で、任意売却の注意点について解説します。
任意売却できないと競売になる
まず、任意売却は必ずしも成立する訳ではないことを覚えておいてください。
任意売却は、通常の不動産売買と同様に、購入者がいなければ成立しないからです。
つまり、任意売却できないと競売になってしまいます。
任意売却でも競売でも売却後の残債処理まで考える
任意売却でも競売でも売却後の残債処理まで考える必要があります。
いずれもオーバーローンの状態で売却となるため、住宅ローンの債務は残ります。
この残った債務は支払い義務があり、なんらかの債務整理をしないといけません。
ですが、任意売却を専門としていない業者のなかには、「払わなくてもいいですよ」など安易なことを伝えている場合もあり注意が必要です。
まとめ
「任意売却」と「競売」の違いについて理解は深まりましたでしょうか。
任意売却は競売より残債を減らすことができ、精神面でも負担が少ないため、手遅れになる前に相談することが肝心です。
さらに早い段階で任意売却の交渉ができれば、一般市場での販売活動の期間を長くもらえることにも繋がり、引越しまでのスケジュールを調整できる場合もあるからです。
また、新しい生活に向けての準備は不安なこともあるため、実際に任意売却を依頼する際は、知識と実績が豊富な専門業者を見極めることも大切となるでしょう。