自宅に差押え通知書が届いたらどうしたらいいの?差押えの意味を知る!


差押えとは、債務者が勝手に自己の財産を処分することができないようにする」ための強制力をもった法的手続きのことをいいます。

つまり法律の力を使って債務者の財産を押さえ、勝手に使われないようにするのです。

この差押えがあった際はその旨の通知書が届きます。
この「不動産の差押え通知書」とは何を意味して、何が変わるのでしょうか。

通知書は郵送で届き、「この不動産は差し押さえられます」という内容が書かれており驚くことになります。

この差押え通知書が届いたときには、既に自身のなんらかの債務を滞納している、または連帯保証や物上保証をしており、債務の請求をされている状態です。

差押えは債権者からすると最終通告であるため、「これ以上債務の返済を待てないよ」という知らせであるため原則は完済をしなくては外すことは不可能です。

では、このままでは不動産はどうなってしまうのか。

放っておくと、いずれは不動産は他人のものになってしまい、自宅を出なくてはいけなくなるかもしれません。

通知書が届いた今からでもできることはあるのか、今回は、差押え通知書が届いてしまった不動産について詳しく解説していきます。

 

差押え通知書が来たら危険サインです

差押え通知書が来たら危険サインです。

残された時間は少ないと考えなくてはいけません。

この通知書が来たということは、裁判所への申し立てがされているということ。

債権者による差押えの申立てを裁判所が受理すると、裁判所から差押の通知が債務者に届くことになり、債権者は差押えた不動産を競売によって売却し、その売却代金から債権の回収を行います。

この差押えは、勝手に売却をされ、債務を回収できなくなることを防ぐことを目的に行っているのです。

 

住宅の差押え通知書とは何か

では更に住宅の差押え通知書とは何かを解説しましょう。

住宅には住宅ローンが残っている場合と、完済している場合がありますが、仮に住宅ローンの滞納による差押えの場合は、その対象となるものは担保となっている不動産(自宅)になりますので、競売が実行されれば債権者は優先的に債務を回収することが可能です。

※そのため不動産購入の金消契約時に債権者(銀行)は設定登記を入れています。

このとき、債権者は裁判者に申し立て、執行官から通知をすることが決まっているのです。

 

また一方で、住宅ローンを完済していても(抵当権がなくても)、他債務の滞納や税金の滞納による差押えが入ることがあります。

役所(債権者)としては、勝手に資産を売られて税金が回収できないことを避けるために差押え登記を入れています。

このとき、資産を差押えますという通知が届き、不動産であれば登記簿謄本を取得することで差押えがされたことが分かるはずです。

また、税金の滞納であると給与や口座を差し押さえることが多いのですが、差押える対象口座が分からないときに、自宅を差し押さえることがあるので注意が必要です。

しかし、不動産に差押え登記が入っても競売の申し立てまではされていないことが多いため、役所の相談窓口にて滞納分の支払いを行うことで差押えを外してもらえることに繋がります。

 

債務回収のための差押え

つまり差し押さえとは、債務回収のためのものであり、ローン、借金や税金などの支払いを怠っている債務者に対し、金融機関や国などの債権者がその支払い金の徴収を図るための最終手段です。

ただし、通常裁判所へ競売の申し立てをすると費用がかかるため、いきなり競売となることは基本的にはありません。

最初の通知書では、「このままでは競売にするので支払ってください」という内容になっているはずです。

また、住宅ローンの抵当権が残る物件への後順位の差押えであるとしても、売却益はローン返済に一番に充てられ、全額回収とはいかないのですが、売却時に回収できる可能性があることや、後順位で差押えを入れることによって、勝手に資産の売買することを防ぐ効力があるので行われるのです。

 

競売申し立ての差押え

通知書が来た意味は、「競売申し立て」の知らせでもあります。

抵当権が残っている不動産は、売却益から債権を回収できます。

例えば、住宅ローンの滞納が約3~6か月続くと、期限の利益を喪失して、保証会社へ代位弁済が行われます。
保証会社は抵当権に基づき売却をして、資金を回収するため、競売申し立ての差押えをします。

流れとしては、代位弁済⇒通知⇒執行官の調査⇒競売サイト掲載⇒開札日⇒所有権移転手続き⇒強制退去です。

代位弁済から競売の開札までが約6か月~10か月かかるため、まだこの間は住むことが可能ですが、既に代位弁済をしてしまっていると、住み続けることはほぼ不可能であるといえます。

(詳しくは>住宅ローンの代位弁済とは)(詳しくは>競売の開札とは


原則、差押えは完済しないと解除してもらえない

そして、差押えで重要なことは、原則、差押えは完済しないと解除してもらえないということ。

差押えは前述した通り、債権者からの最終通告であるため、この時点では分割での返済は一切応じてもらえず、原則滞納金と遅延損害金を完済しなくては解除してもらえません。

全額の返済は非常に厳しい処置のように感じますが、この差押えの前には、督促状や催告書が届いていたはずであり、「知らなかった」ではすまされない状況なのです。

 

住宅ローン残債とその他差押えがある場合はすべて完済できるのかがポイント

ちなみに、住宅ローンのある不動産を売却するとき、その他の債務により差押えが入っている場合については、とても複雑です。

売却を成立させるには、ローン残債はもちろん、差押えしている債権者の債務も完済しなくては売ることもできません。

つまり、買い手にこの差押えの金額まで負担してもらうとなると高い金額で売り出すことになってしまい、簡単には売れないはずです。

差押えが入っている不動産は全ての債権者と調整しながら進めます。

 

不動産売却時に交渉できるハンコ代とは

債権者との調整のなかで、不動産売却時に交渉できるハンコ代と呼ばれているものがあります。

判子代とは、差押え解除に応じる費用のことです。

例えば、

後順位の差押えであるその他債務が100万円であり、不動産の売却価格が1800万円ローン残高が1700万円であったとしましょう。

この時、不動産売却の諸費用が約70万円とします。

ローン残高は第一抵当権であるため、1770万円は売却時に無くなり、残りは30万円です。

後順位である債権者が100万円の差押えを30万で外してくれるよう調整するのです。

この30万円がハンコ代と呼ばれ、差押え解除をしてもらう費用になります。

これにより、不動産売却は可能になるため、一度債権者に交渉してみることが可能です。

※残りの債務は返済義務が残ります。

※交渉しても、全額返済以外認めない場合があります。

 

差押え通知書を無視するとどうなるの?

では、差押え通知書を無視するとどうなるのでしょうか。

基本的には督促の段階で無視していると債権者は厳しい対応になっているはず。


分割返済の相談はほぼ不可能である

債権者が裁判所に申し立てを行っているということは既に、不動産売却による債務回収に動いており、もう分割払いはできないことを意味しています。

仮に、「少額を返済をするので少し待ってください」といったことはもう通用せず、このような分割返済の相談は督促状が届いている段階でしなくてはいけません。差押えは解除する唯一の手立ては一括返済のみです。


放っておくと競売に繋がる

そして、もちろん一括返済は無理であることが多いため、対処することができず放置となれば、競売に繋がります。

競売の申し立てがされれば、執行官が粛々と進めていきます。
このとき、待ってもらうことや交渉することはできません。

差押え不動産の調査が終了すれば、競売サイトに公開され、期日を迎えれば所有権が移ります。
つまり、自身の不動産ではもうなくなってしまうのです。

(詳しくは>競売の流れ


住宅ローン引き落とし口座が使えなくなる

もう一つ、住宅ローン滞納による差押えをされると、引き落とし用の銀行口座が使えなくなっているはずです。

この口座にお金が入れば、債権者が直ぐに口座からお金を落とすようにしているため、生活資金は入れておくことができないはずです。

生活資金として給与を残しておく際は、他口座が必要になります。

 

差押え通知書が届いたときの対処は?

では、差押え通知書が届いたとき、何か対処はできるのでしょうか。

もちろん、早い対処が条件となりますが以下解説します。

 

支払いが可能であれば早めに滞納分を完済する

通知書が届いた時点で、滞納の支払いが可能であれば急ぎ完済をすることです。

完済をする意思を直ぐに示すことで、差押え解除に繋がり、競売の申し立てを待ってくれるかもしれません。

ただし、住宅ローンの滞納であるとすでに代位弁済がされており、滞納分だけでは認めて貰えないことがほとんどです。

その場合はローン残高の一括返済が必要になりますが、なんとしても自宅の不動産に住み続けたい場合は完済するしか方法はありません。


完済が難しければ不動産を売却する

また、自身での完済が難しければ、不動産を売却して精算することになります。

ただし、差押えから競売の申し立てをされていると、競売の申し立て費用も合わせて高額な価格で売買を成立させなくてはいけないことと、

競売の開札前に代金決済を終えなくてはいけないというハードルがあります。

この場合、買い手は不動産会社の買取であれば期日に間に合うかもしれないため、一度相談してみるとよいでしょう。


任意売却を検討する

ただし、通常の売却がしたいと考えた場合でも不動産の価値が残債務を下回る(オーバーローン)ときは、売却できません。

そんなときに最後の方法として、任意売却が可能になるかもしれません。

債権者に認めて貰い、成立する売却方法ですが、任意売却ができれば競売に比べて高く売却することができるため、残債務を減らすことができ、新生活もスタートしやすくなります。

任意売却の専門会社と進めることになりますが、後の債務整理の方法なども同時に相談することで不安のない再出発ができるようにしましょう。

(任意売却のメリット等詳しくは>任意売却とは

(類似記事>競売回避の方法

 

まとめ

今回は、差押え通知書が届いた場合について詳しく解説しました。

税金やその他の債務であれば、差押えの対象は不動産だけではありませんが、住宅ローンを滞納した場合の差押え通知書は抵当権のある自宅であるはずです。

そのまま無視をしてしまうと、競売になり家を失うことになります。

まずは、専門家に相談するなど、現時点での最善方法を探しましょう。

 

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