親族間売買の相談!住宅ローンを組みたい場合の解決策は?
「親が住宅ローンの返済に困っているので、親族である自分が買い取りたい」
「長年住み続けた実家を手放したくない」
「いずれは子どもに実家を譲りたい」
このような「親子間で不動産の売買をしたい」という相談は近年増えています。
その際、ローンの利用したいという方も多く、できれば金利の低い住宅ローンを利用したいと考えることが多いと思います。
また、両親が住宅ローンの返済に困っていたときの資金問題を解決する方法として、自宅の親子間売買を選択したときは、抵当権のあるローン残高を完済できる以上の金額で、売買価格を設定しなくてはいけないため、まとまったお金が必要です。
このようなとき、一括で家を購入できる資金がない場合は、ローンを組む必要があります。
しかしながら、親子間売買・親族間売買はローンの中で特に審査が厳しいとされています。
なぜなら、金融機関は金利の低い住宅ローンを利用して別の目的の融資に使われることを懸念し、基本的には親族間での売買には融資を行いません。
では、どうしたら良いのか、何か解決策はあるのか本記事では親族間売買について学び、親族間売買でどのような選択ができるのかをお伝えします。
結論!ノンバンクのフリーローンであれば使える可能性がある
結論として、ノンバンクのフリーローンであれば融資を受けての親子間売買は可能です。
しかしながら、気を付けるべきことが多く、必ずしも融資を受けられると認識してしまうのでは危険です。
そして、親族間売買では通常の住宅ローンは「融資条件から逸脱するため融資審査が通らない」とされており、基本的には使えません。
例えば、買主自身(子)が住むのではなく、親が住み続けるようなケースであれば、そもそも自己居住を目的から外れているということになります。
この目的とは、銀行の住宅ローン貸し付け条件として、「ご自身がお住まいになる住宅の建築・購入・増改築資金、住宅ローンの借換資金・借り換えに伴う諸費用」と記載されていたりします。
また、一緒に住むことを目的として場合でも、低金利のローンの不正利用を疑われることになり、融資がおりません。
そのため、ノンバンクのフリーローンを使うことになるのです。
親族間売買の住宅ローン審査は相当厳しい
つまり、親族間売買の住宅ローン審査は相当厳しいということであり、先述しましたが多くの銀行は、「親族間売買には住宅ローンの貸し付けを行いません」と明記しています。
これは本来であれば、親族間で不動産をやり取りする場合、「相続」や「贈与」という手続きで取引するのが一般的とされるからです。
あえて「親族間売買」という手続きを行うのは、一般的な不動産取引を選べない理由や事情、問題があるのではないかと金融機関に疑われてしまっても仕方ありません。
なお、親の抵当権が残っている場合には勝手に名義変更はできません。(住宅ローン契約で契約違反に該当します)
親の住宅ローンを自分が引き継げばよいということはできず、あくまでも、親のローンは親名義での返済(完済)が必要となります。
借入をするならばフリーローンを選択する
そのため、借入をするならばノンバンクのフリーローンを選択しましょう。
フリーローンとは、利用目的が自由(フリー)なローン商品のことで、多目的ローンと呼ばれることもあります。
一般的には、病気や事故で思いのほか出費がかさんだときや車を買い替えた等大きな支出が生じた場合などに「フリーローン」が活用されています。
そもそもこのフリーローンは、資金使途が原則自由なローンなので親族間売買に利用することができるのです。
不動産が、親族名義(親、子、兄弟、親戚など)または自分と共有名義であっても別居をしていれば取扱いできると記されています。
ノンバンクのフリーローンの特徴や要件
ノンバンクのフリーローンの特徴や要件をまとめました。
① 金利が高い:フリーローンの金利は高く、3.0~5.0%程と、一般的な住宅ローンよりも高く設定されています。
② 融資金額 :担保評価の7掛けくらいまで( 100万円~※収入状況による)が融資金額となり、頭金が必要となるケースが多いです。
③ 借入回数 :お借り入れは1回のみのため、フリーローンでは追加融資を受けられません。
ちなみに、ノンバンクには年収の3分の1を超える借り入れを禁止する総量規制がありますが、不動産ローンは総量規制の適用外です。
そのため、「ノンバンクは少額しか借り入れできない」などということはありません。
ケースによってはフラット35も利用可能
ケースによっては、住宅金融支援機構と金融機関が提携して共同販売する「フラット35」という商品を使えることもあります。
先述したフリーローンよりも金利が優遇されると安いこともあり、この場合は住宅ローン減税も利用できる可能性もあります。
※住宅ローン控除の適用条件による条件としては、下記が必須となります。
申込者が申込前に購入物件に既に入居している場合で、次のいずれかに該当する場合は対象とならない。
① 融資対象住宅に売主及び買主(親と子)が同居しているとき(現入居者間の売買)。
② 融資対象住宅に売主は居住していないが、申込人が売主から使用貸借しているとき。
つまり、売主である親が入居したまま売買することができないため、親がそこに住み続けたい場合はフラット35を利用することができません。
また、審査自体は非常に厳しくなり、「フラット35」でも様々な融資条件が付されていることもあるため、利用できないことも予定しなくてはいけません。
なお、上記の条件で考えると、同居中の夫婦間の売買も融資の対象になりません。
ただし、現在離婚後にて、第三者(事業者)を媒介とした売買契約を締結し、且つ所有権移転登記の登記原因が売買となるものは対象となります。
親族間売買で住宅ローンを組みにくい理由
では、2章より親族間売買で住宅ローンを組みにくい理由を詳しく説明します。
下記の理由により、組みたくても断念せざるを得ない状況になるのです。
低金利のローンの不正利用を疑われるから
まず理由として、低金利である住宅ローンを悪用して、別の用途に使われる可能性があるからです。
仮に1,000万円の住宅ローンを組んでも、本当に1,000万円を当事者同士でやり取りしたのか金融機関にはわかりません。
本当は700万円の売買だとして、後に親子間で金額のやりとりがあり、300万円を違う用途に使わられるリスクがあるのです。
そのため、多くの銀行が親族間には融資自体を行わないとしています。
子の名義で親が住み続ける為の住宅ローンは貸付要件に充てはまらないから
次に、子の名義で親が住み続ける為の住宅ローンは貸付要件に充てはまらないということです。
住宅ローンの要件は、自身の居住用として限定されています。
銀行側との金消契約(金銭消費者契約)の時には住民票を移す(※後日可)など必ず確認されています。
そして、あくまでも本人の信用情報を基準として、金利を決定しているため、子の名義で降りたローンの費用を親の生活のために使うのはNGなのです。
ここで銀行をだまして、自身が住むといいうことにしても、万が一バレたときには約定違反となり、銀行側から一括返済を申し出られても仕方ありません。
築年数が古く担保価値がないと判断されるから
そして、築年数が古く担保価値がないと判断されると、組めない可能性があります。
通常の住宅ローンの審査では、申し込み者の属性に加え、物件の担保価値も調査して融資額を決めています。
担保価値が低いと希望額を借りられない可能性があり、審査に通ったとしても融資額が足りなかったとなると、自己資金で補うしかありません。
また、金融機関は購入物件に対して『抵当権』を設定します。
抵当権とは、契約者が返済不能となった場合に備え、物的担保としている不動産を売却して返済に充当できる権利のことです。
万が一、返済が滞った時には抵当権を実行して、競売にすることで代金の回収をします。
それなのに、担保価値が落ちている物件であると、貸した金額の回収が見込めないため、融資額を減らす、もしくは融資不可として回答が出てしまうのです。
なお、戸建ての不動産であれば、土地の価値は大幅に下がることがないので、場所によっては担保価値があると判断されますが、マンションであると難しい物件もあります。
なかでも、『旧耐震基準のマンション』は担保評価の際に大きなマイナス要因になることが多く、担保割れになってしまうとして、住宅ローンの融資を受けられない可能性が極めて高くなります。
※旧耐震マンションとは:1981(昭和56)年5月31日までの建築確認において適用されていた基準のことを旧耐震基準としています。
売買代金の客観性・透明性が担保できないから
売買代金の客観性・透明性が担保できないとして、住宅ローンは組めなくなります。
そして、適正価格でないと親族間であるか調べられる可能性があるため注意が必要です。
たとえばですが、その程度が「一般的な取引価格からかけ離れた」とみなされるかは、明確な基準はないのですが、過去の司法での判断から、一般的な取引価格の8割以下がひとつの目安だと言われています。
また、透明性などの問題で、仮に「離婚した妻との不動産売買である」として、戸籍上は離婚をしているので、「親族」ではない他人として、安い価格での売買を行ったうえで、そのまま住み続けるなどもできてしまいます。
このようなことから、銀行は客観性・透明性も把握してから融資の決定をしています。
もちろん、上記のように適正価格でなく取引し、「親族間売買」と税務署に判断された場合には「みなし贈与」の対象になる場合もあります。
きちんと不動産の「適正価格」を調べてあてはめ、取引を進めましょう。
親子間売買は難しいが、自宅に住み続けたい
リースバックで住み続ける方法があります
親子間売買ができなかった場合、リースバックで住み続ける方法があります。
リースバックとは、物件を売却した後、買い手との間で賃貸契約を結び、物件を賃借人として使用し続けることをいいます。
リースバックも売却となるため、売った後は所有権が無くなりますが、買い手のオーナーに家賃を支払う形で同じ家に住み続けることができるのです。
売り手にすると、売却益でローン残債を完済できるほか、手元に資金が残る可能性もあり、売却後は固定資産税などの負担もなくなるなどメリットが多くなることもあるため、条件があえば選択するのもよいでしょう。
(詳しくは>リースバックとは)
適正価格で売買するために不動産仲介に依頼する
このリースバック成立のために必要なことは、適正価格で売買するために不動産仲介に依頼することです。
通常、不動産売買は仲介業者が入ることで売買間のトラブルの防止と銀行に対して「この不動産取引は不当な内容ではありません」という証明をする意味合いがあるからです。
また、リースバックは取引前に気を付けるべきことも(リースバックで気を付けること>デメリット注意点)あるため、取り扱いに慣れていて、自身にとっての利益が一番出るように適正価格を教えてくれる会社を選ぶことが大切になるのではないでしょうか。
まとめ
今回の記事で、親子間売買での住宅ローンの融資は非常に難しいことがわかりました。
フリーローンを使うことにより、親子間売買成立の可能性はまだありますが、実際には金利も高く、頭金が必要であるなど実現するには悩ましい選択です。
また、数年後、数十年後のことを見据え、ローンを組まないといけないことも忘れてはいけません。
子供にローンを組んでもらうことにより、今後、子供自身が結婚などの変化に伴い、また家を購入したいと考えても、ローンを組んでいるために住宅ローンが通らないということもあるからです。
最後に、不正な資金移動、利益隠ぺいの手段として銀行・貸金会社側に疑われてしまう可能性を防ぐためにも、親族間で安心して売買を行うためには、売買金額が相場相当の価格であるかを判断してもらう必要があるため専門家に依頼することも、親族間売買の大きなポイントになっています。