固定資産税を滞納すると発生する延滞金はいくらなの?疑問にお答えします!
「固定資産税って延滞するとどうなるの?」
「固定資産税に延滞金ってありますか?」
「税金を延滞し続けたら、その後どうなるのでしょうか?」
固定資産税を払い忘れてしまい、そのまま滞納している方は注意が必要です。
そもそも固定資産税は、土地・家屋・償却資産に対して課税される市町村民税であり、毎年1月1日の時点でこのような資産を保有していれば、市町村から課税通知書が届きます。
支払い方法は4期に分かれており、納期限までに税金を納めなくてはいけません。(一括で納付することも可能です)
そしてこの固定資産税は必ず払う義務がある税金のため、払わずにいるとペナルティとして延滞金が発生します。
あまり知られていませんが、「税金の延滞金」は実は年利14.6%と高額となることもあり、滞納した延滞金をそのままにしてしまうと、どんどん膨れ上がってしまう恐ろしい事態になります。
今回はこの「固定資産税の延滞金」に関してしっかりと学び、対処法などもご説明致します。
固定資産税を滞納すると延滞金が発生する
固定資産税は滞納すると延滞金が発生します。
そしてこの固定資産税の延滞金は放っておいても逃れることはできず、必ず払わなくてはいけない税金です。
何らかの理由で固定資産税の支払いが遅れてしまった場合、自分から役所に相談しないかぎりは、督促状が送られてくることになります。
督促状は、固定資産税の納付期限の翌日から20日以内に送付されるとされており、つまりは、納期限を過ぎた翌日から延滞金は発生しているということになるのです。
稀に、延滞金に関しては払わなくても良いといった間違った情報もありますが、そのようなことはありません。
それは民法で定められている「時効によって消滅(延滞金についても同様です。)」が成立することはほぼ無いからです。
では実際に延滞金についてご説明します。
固定資産税の延滞金は最大で金利14.6%
納期限を過ぎると金利14.6%の高額な延滞金が発生することがあります。
なかなか想像しにくい金利ですが、これはサラ金並みの高さに近い高金利です。
それだけ固定資産税(税金)の支払いは国民の「義務」であり、甘く見てはいけないということです。
※現在の金利については、詳しく下記で解説します。延滞金の割合は年度ごとに異なります。
固定資産税を納める時期は年4回が原則
固定資産税を納める時期は年4回が基本です。納付スケジュールは市町村ごとに異なります。
例えば名古屋市では、第1期は4月、第2期は7月、第3期は12月、第4期は翌年2月となっています。
これが納期限となり、それぞれ遅れた場合に延滞金が発生します。
支払い方法は、4回の分割ではなく一括払いも選択することが可能です。
忙しく、納付期限を忘れがちになってしまう方は支払い方法を変更するといいでしょう。
延滞金には延滞金はつかないが必ず払わなくてはいけない
仮に、本税のみを支払い、延滞税の部分を払わなかった場合について、この延滞税には延滞金はつきませんが、必ず払わなくてはいけません。
そのまま延滞金を放っておいてしまうと、この延滞金の滞納について支払う気がないと見なされ、「差押」に入る可能性もあるので注意が必要です。
一度ついてしまったこの延滞金は、延滞した本税を支払うタイミングで必ず一緒に返済するようにしましょう。
延滞金の計算式
2章では実際に延滞金を計算してみましょう。
納期限の翌日から1ヵ月を経過する日までと後で割合が変わる
固定資産税の延滞金は、納期の翌日から1ヶ月までと、1ヶ月を超えた日からでは税率が異なります。
延滞金を計算する際は、1ヶ月までの延滞額と、1ヶ月以降の延滞額を足した数値を延滞金としています。
延滞金の割合に関しては下記の通りです。
期間 |
令和2年1月1日~12月31日 |
①納期限1か月以内 |
2.6パーセント |
②納期限1か月経過後 |
8.9パーセント |
① 納期限までの期間及び納期限の翌日から2月を経過する日までの期間については、年「7.3%」と「特例基準割合(※)+1%」のいずれか低い割合を適用することとなり、①の2.6%の割合が適用されます。
② 納期限の翌日から2月を経過する日の翌日以後については、年「14.6%」と「特例基準割合(※)+7.3%」のいずれか低い割合を適用することとなり、②の8.9%の割合が適用されます。
※令和2年中の特例基準割合は1.6%です。
※特例基準割合とは、財務大臣が告示する国内銀行の新規の短期貸出約定平均金利の該当年の前々年10月から前年9月までにおける平均に、1パーセントを加算した割合です。
延滞金の計算例と端数処理について
では実際に延滞金の計算をしてみましょう。
令和2年度固定資産税 Aパターン
金額321,000円(納期限:令和2年4月30日)を滞納してしまい、納期限後一か月以内の令和2年5月29日に納付する場合。
321,000円×2.6÷100×29÷365=663(小数点以下切捨て)
※地方税法の規定により、延滞金額が千円未満なので全額切り捨てになります。
延滞金の合計 600円
令和2年度固定資産税 Bパターン
金額266,000円(納期限:令和2年6月30日)を滞納してしまい、令和2年10月1日に納付する場合。
納期限後一か月
266,000円×2.6÷100×31÷365=587円(小数点以下切捨て)
一か月経過後
266,000円×8.9÷100×62÷365=4,021円(小数点以下切捨て)
※地方税法の規定により100円未満切捨てになります。
※延滞金の確定金額が1,000円未満のときは、延滞金を徴収しない自治体もあります。
延滞金の合計 587円+4,021円=4,608円⇒4,600円
詳しくはお住いの市役所への問い合わせをしましょう。
延滞金を払わないと起こること
では、延滞金を払わないままでいると起こることを解説します。
延滞金を請求される
延滞金を払わないままでいると、延滞金を請求されます。
電話での督促や、書面で行われます。
書面は納期限の翌日から20日以内に督促状が送られてくるのです。
それでも支払わないままでいると差押えが入る
滞納し、支払わないままでいると「差押え」が入ります。
納期限までに納められた方との公平を保つため、また大切な財源を確保するために、やむを得ず、滞納している方の財産(不動産・動産・債権・給料・銀行預金等)を差押え、さらにこれらの財産を公売するなどの、滞納処分をおこなうことになります。
特にお給料の差押えは生活に直結するためこの差押えの強制執行で気づき、慌てることもあるかもしれません。
最悪は自宅の競売に繋がることもある
この差押えが入った段階までくると、本来は至急対処しなくてはいけませんが、さらに放っておいた場合、最悪は自宅の競売に繋がることもあります。
これは、差押えが入った自宅は、「差押え解除」してもらわなくては売却することができないことが原因となるのですが、仮に固定資産税のみならず、住宅ローンの支払いも苦しくなったため、自宅を手放したいと思っても差押えが入ったままの家を買いたいという方はいないため売れないからです。
結果、売れない自宅のローンまでも滞納が続いた場合、今度は住宅ローンの債権者が「差押」を行い、そのまま競売へと流れて行ってしまうことになるのです。
(詳しくは⇒差押え解除)
このような最悪の事態は、差押えを解除できれば防げるのですが、実際に様々な支払いが苦しい状況で、役所や債権者と交渉するのは大変なことです。
税金の支払いは逃れられないのでいち早く払うことが得策である
つまり、税金の支払いは逃れられないのでいち早く払うことが得策であるということです。
ついつい後回しにしがちですが、この固定資産税の延滞での差押えは厄介であるのです。
延滞金を払えない時の対処法
減免等の相談にいく
すぐには納付できない事情がある場合は、納付期限が過ぎる前に各市町村の窓口で減免など相談しましょう。
生活保護を受けていたり、災害などで固定資産に大きな損害を受けたりした場合など、状況によっては固定資産税の軽減や免除を受けられる場合もあるようです。
分割払いの相談にいく
次に同じく各市町村の窓口に行き、分割払いの許可をもらえるよう相談しましょう。
必ずしも分割払いに応じてくれるとは限りませんが、滞納後すぐに誠実な対応を心掛けていた場合や支払い時期を明確に伝えていたなどがあれば考慮されることもあります。
どうしても払えない時は任意売却も検討する
どうしても払えない時は任意売却も検討しましょう。
固定資産税の滞納から延滞金が膨れ上がり、自宅を差押さえられた場合に最後の手段として、任意売却という方法があります。
ただし、あくまでも「差押え」解除が条件となって成功する方法の為、交渉がうまくいかなかった場合はそのまま競売となってしまうこともあります。
リースバックという選択
条件が揃うことで、リースバックという選択もあります。
任意売却と同じく、必ずしも成功するとは限りませんが、リースバックでは自宅を売却しても、賃貸としてそのまま住み続けられるという利点があります。
(詳しくは⇒リースバックとは)
延滞金がどうしても払えない場合は様々な方法を使って、解決策を見出すことができます。
滞納を続けてしまったとしても、1日でも早い対処が最悪の事態を避けることに繋がりますので、まずは専門家に相談してみましょう。
まとめ
固定資産税を滞納すると延滞金がいくらになるのか、自身の金額を元に計算することはできましたでしょうか。
延滞金は、年利14.6%の高額であることがあり、1日経つごとに増えていき、割合が変わってしまうため早めに対処しなくてはいけません。
必ず払わなくてはいけない税金です。
先延ばしにすることなく、払えない場合もまずは役所、専門家に相談に行くなどしましょう。