勘違いされがち!任意売却の本当のデメリットと4つの注意点
任意売却のデメリットに関する情報はネット上で多く存在します。
しかしその多くは「住宅ローン滞納、任意売却及び競売に関するデメリット」に関して解説しているものであり、任意売却そのもののデメリットに関する解説としては不十分です。
残念なことに、専門家である不動産会社や法律家が書かれたコンテンツであるために、それを読まれた方が間違った認識を持ってしまっています。
このコンテンツでは、実は1つしかない任意売却のデメリットを理解していただくことを第一義にし、混同しがちな情報を整理していただくことを目的として作成しておりますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
任意売却のデメリットとは?
任意売却をすることによる唯一のデメリットは「住み慣れた自宅(不動産)を手放すこと」です。
「もっとたくさんのデメリットがある」と思われるかもしれませんが、実は上記の1つだけです。
様々なHPでデメリットと言われていることの多くが、その前後(住宅ローン滞納段階、競売段階)で起きたことが直接の原因となっており、任意売却自体が原因となっていない場合がほとんどです。任意売却のデメリットと勘違いされる内容に関しては後述しますのでそちらをご覧ください。
とはいえ、一世一代の想いで購入されたご自宅を手放すことは寂しく、可能な限り手放したくないという方が多いのではないでしょうか。
確かに引越しをするのは大変ですし、新しい環境で生活するのは不安も多いと思います。そのため、もちろん任意売却せずに住宅ローン問題を解消できればそれに越したことはないでしょう。
しかし、どうしても住宅ローンを払えず任意売却を検討せざるを得ないという場合は、任意売却自体のデメリットは引越しが必要になることだけであることを理解し、生活再建のために前向きに捉えてもらえればと思います。
※必ずしも「手放す=住めない」ということではなく、任意売却をしたあとも住み続ける方法(リースバック)もあります。しかし、適用される条件が非常に厳しいのが現実です。ごく一部の方にしか使えないと認識してください。
任意売却のデメリットと勘違いされること
任意売却自体のデメリットではないのに、勘違いしている(させている)ブログや記事が多くあります。実際には任意売却ではなく、その前後である住宅ローン滞納時や競売時のデメリットであることがほとんどです。
前述しましたが、任意売却のデメリットは「自宅(不動産)を手放す」こと、これ1つです。全体の流れの中でどの時点で起きるデメリットなのかをしっかりと整理しましょう。
ブラックリストに載る?
信用情報に傷がつくことを「ブラックリストに載る」と言いますが、これは住宅ローンを滞納したときに起きてしまうことであり、任意売却をすることによってブラックリストには載りません。
しかし、住宅ローンは滞納したことがないものの(まだしていない)、「支払いが厳しい」という理由から任意売却の手段を選択する場合は、「これからブラックリストに載る」のでご注意ください。それを踏まえての判断が必要になります。逆に言えば、任意売却する段階ではすでに信用情報に傷が入っている状態ということです。
なお、住宅ローン滞納以外にもクレジットカード支払い遅れ、携帯料金などでも個人の信用情報傷がつきます。
この先ずっと融資を受けられない?
任意売却後、この先ずっと融資が受けられなくなることはありません。
ただし、一定期間融資が受けられなくなることは事実です。具体的に〇〇年と言い切ることは難しいのですが、一般的に5年~7年の間は難しいでしょう。
銀行の融資の場合、前述した個人の信用情報を参照しますので、信用情報状態がクリアになったときが一つの目安であると覚えておいてください。
自己破産しないといけない?
任意売却をしても自己破産をする必要はありません。むしろ、自己破産を回避するためにも競売よりも任意売却を選択するべきでしょう。
任意売却しても自己破産の可能性がゼロになるというわけではありませんが、残債の返済目途が立っているのにもかかわらず、わざわざ自己破産する必要はありません。
しかし、自己破産をすることによって、借金を圧縮し、生活が楽になるケースが多いのは事実です。
「自己破産」と聞くと、「なにもかも終わりだ」と世の中から排除されるような印象をお持ちの方が多いですが、住宅ローンの支払いが厳しい方にとっては負債が無くなり、生活が楽になる有効な手段であります。
ご近所に知られてしまう?
任意売却は通常の不動産売却形式とあまり変わらないため、ご近所に知られてしまうことはありません。
任意売却が成立せず、競売になってしまったときは売却情報が裁判所経由で開示されてしまいます。
インターネットにもその情報が掲載されますので、その場合にはご近所に知られてしまう可能性があります。
任意売却の注意点
任意売却がご自身にとって最良の方法である場合でも、以下4つの点に注意しなければなりません。
住宅ローンが残る
もちろん、残っている住宅ローンの額よりも高い金額で家が売れれば残債は残りません。
しかし、多くの場合は任意売却後に住宅ローンが残ります。なぜなら購入時に比べて建物自体が古くなっているからです。そして、売却代金で返しきれなかった住宅ローンは返済義務が残ります。(ただし、少額の分割返済が認められることがほとんどです)
中には、残ったローンはほとんどカットしてもらえるというような甘いことを書いているホームページもありますが、そんなことはありませんので注意が必要です。
連帯保証人に連絡・請求がある
連帯保証人は運命共同体です。任意売却をしてローンが残った場合、ローンを組んだ時に連帯保証人になった人にも債務が請求されます。すなわち、任意売却を成功させるためには連帯保証人の協力が必要になることがあります。
言い出しにくいことではありますが、必ず連絡する必要があります。連帯保証人の財産(不動産も含む)が差し押さえになってしまう事態に発展してしまいますので必ず連絡し、協力を要請しましょう。
離婚した元妻等が連帯保証人の場合は要注意です。なかなか連絡が取れない場合は任意売却をスムーズに行うことが出来なくなり、大きなブレーキとなってしまいます。
そもそも売れないかもしれない
任意売却は確約されたものではありません。なぜなら買主が見つからない限り売却することができない点においては通常の不動産売買と変わりがないからです。
すでに住宅ローンを滞納していることから、売れなかった場合は競売という手法を取らなくてはなりませんので、要注意です。
任意売却を認めない銀行・保証会社がある
一部の銀行・保証会社では任意売却を認めないケースがあり、その場合、銀行・保証会社の主張が通り、任意売却そのものを行うことができなくなります。
認めない理由の多くは、「銀行からの住宅ローン滞納督促に対して無視を続けていた」ことが原因です。滞納によって後ろ向きな気持ちになってしまいますが、銀行・保証会社からの連絡には必ず応じましょう。
また、銀行・保証会社に任意売却を認めてもらうには高度な交渉、が必要になります。
任意売却という手段を確実に実行するためにも後述の次章「任意売却を成功させるために~良い専門家(不動産会社)の見極め方~」をお読みください。
任意売却を成功させるために~良い専門家(不動産会社)の見極め方~
任意売却は複雑な手続きが多いうえに、時間との勝負でもあります。
ご自身で最初から最後まで完遂することは“ほぼ不可能”といっても過言ではありません。
自分ではやりきれないのであれば、“パートナー”にお願いするしか方法がありません。任意売却を成功させるための専門家選びのポイントを把握しておきましょう。
任意売却の実績が100件以上あるか
とにかく任意売却に関して実績豊富な専門家に相談しましょう。
多くの不動産会社は任意売却を取り扱ったことがありません。普通の不動産売買と違い、時間との闘いである上に手間がかかることが大きな理由でしょう。
「通いやすいから」「土地勘があるだろう」という理由でご自宅近くの不動産会社を選択するのはNGです。
少し遠くても必ず実績のある不動産会社にご相談することが任意売却を成功させる近道です。
具体的な判断材料として「任意売却の実績が100件以上ある」、「個人ではなく企業として任意売却に取り組んでいる」ことをHPで打ち出している専門家は良いといえるでしょう。
債権者交渉などの高度なノウハウと経験が必要になるので100件以上の実績がある専門家が望ましいでしょう。数件程度の実績の場合は失敗のリスクが高まりますので、可能な限り実績豊富な専門家を選びましょう。
リスク、今後についてまで提案してくれるか
任意売却の良いところだけではなく、リスクや今後の生活までアドバイスしてくれる専門家に相談しましょう。
任意売却はあくまでも現状を打開するための解決策にすぎません。他の解決方法がご自身の最適解である可能性も十分にあります。
また任売却後の住宅ローン残債の返済、引っ越しなど、売却完了後も乗り越えていかなければいけない問題は山積みです。
良いところだけではなく、起こりうる悪いことやリスクまで包み隠さず提案・提起してくれる専門家選びが重要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。任意売却のデメリットについては「自宅(不動産)を手放す」以外になく、皆さんが思っていたデメリットの多くは、その前後に起きていることが直接的な原因であることがお分かりいただけたかと思います。
任意売却自体にデメリットは少ないものの、可能であれば売却せずに今のご自宅に住み続けたほうが良いですし、任意売却をしなくてはならないのであれば、確実に売れるような専門家に相談することで、悪い結果を回避することができます。