個人再生の費用を知りたい!費用を抑えることはできる?注意点も解説します
個人再生は、裁判所に申し立てる手続きであるため、裁判所へ支払う費用や、司法書士・弁護士に依頼する費用が発生します。
「個人再生を考えているのでかかる費用の相場が知りたい」
「なるべくお金のかからない方法はあるのでしょうか?」
「一括での支払いは難しく、分割払いをしたいのですが…」
このように、個人再生を考えた場合、相談すべき前に掛かる費用が気になるものです。
個人再生における弁護士費用の相場は、事務所によって違いがあり約40~50万円と幅があります。
どのような場合に費用が高くなってしまうのか。
また、安くするにはどうしたらいいのでしょうか。
実際にお願いをしたいと思っても費用の工面は問題となる為、費用が支払えるか心配となり、個人再生をあきらめるようなことが無いように、今回は個人再生の費用をできるだけ費用を安くして個人再生する方法や、費用が支払えないときの相談方法なども、詳しくお伝えします。
目次
個人再生で支払う費用の相場
まずは、個人再生の費用の相場を紹介します。
相場といっても弁護士と司法書士どちらに依頼するかで異なってしまいますが、司法書士へ依頼の方が費用は安い傾向にあります。
(費用が安い理由は、後述しますが、弁護士は代理人で行える業務が多く、司法書士は代理人でなく書類作成者のみという違いから費用が異なるのです。)
そもそも個人再生は、裁判所を利用して借金を減額する手続きです。
居住地域の地方裁判所に申立てをして、借金の一部(概ね5分の1)を原則3年間で払うことを条件に、残りの借金返済を免除してもらうことで、負担を減額することが目的になるため、借金の額が高額な方に大きなメリットがあります。
この手続きを行うことで、負担が減ることが分かっていても費用を払えないからと依頼ができないことがないように、しっかりと費用を確認していきましょう。
※さらに個人再生のローン特則を使うことで、住宅ローンの支払いのみを残すこともできるため、借金を減額し、持ち家を守りたい人にも有効な手続きとされており、個人再生は債務整理のメリットがあるとされています。
(類似記事>個人再生の適用条件は?)
(類似記事>個人再生のデメリットは?)
相場は50万円前後、ただし事務所ごとに異なる
個人再生の費用は50万円前後が相場ですが、実は事務所ごとに異なるため、きちんと詳細を確認しなくてはいけません。
弁護士事務所であれば40~60万円と幅が出ます。
また、司法書士であれば費用の相場は、30万円~40万円ほどです。
そして個人再生の費用として支払うタイミングは、着手金と報酬金と2段階で、
① 着手金は、個人再生を依頼した際に支払う費用
② 報酬金は、再生計画の認可決定を受けたときに支払う費用(手続きが認められたことに対する成功報酬)
とされていますが、中には着手金は取らずに報酬額として一括で受領する事務所もあります。
そしてこの報酬金が事務所ごとに定められており、同じ手続きでも差が出る要因の一つです。
住宅ローン特則を使うと費用が増える
住宅ローン特則とは、住宅ローンの債権者のみ返済を継続する制度を指します。
持ち家に住み続けたい場合は、住宅ローンを継続しなくてはいけないため、この住宅ローンを整理するわけにはいきません。
そのため、他の債務のみを整理して、住宅ローンは今まで通りの支払いができるようにするのです。
この住宅ローン特則をつかうと、費用の相場は、60万円程に上がり、使わなかったときと比べると加算されることが多いようです。
費用の内訳を解析!裁判所費用と報酬
では、費用の内訳ですが、裁判所費用と報酬に分かれていることが分かります。
弁護士・司法書士に払う費用を詳しく見ていきましょう。
【費用内訳】
① 相談料 ② 着手金 ③ 予納金 ④ 報酬金
まずは、①相談料です。
相談料は、依頼する前に発生する料金です。
依頼前に「どのような方針で借金を減らしていくか」や「個人再生にかかる費用や手続きの流れ」などを相談する際に発生し、相場はゼロ〜1万円程度です。
なお、この相談料はすべての事務所で発生するわけではありません。
相談料が無料に設定されている事務所を選ぶことで、依頼当初の費用を削減することができるため、HP等で確認しましょう。
次に、②着手金です。
弁護士が手続きに本格的に着手することが決まった時点で発生する費用です。
着手のタイミングは弁護士事務所によって異なりますが、多くは弁護士が代理になった旨を債権者に知らせる受任通知を発送した時を着手とします。
この着手金は後の報酬金とまとめている事務所もあります。
そして、③予納金です。
予納金は一般的に、裁判所への申立当日までに一括で払います。
この予納金とは再生手続きにおいて裁判所に支払う費用のことをいい、官報に掲載する手数料と財産の有無によって個人再生委員が選任されるかどうかで以下のように異なります。
・選任される場合:約15〜25万円
・選任されない場合:約1万5,000円
また費用の注意点としては、個人再生の手続きが失敗に終わり、免責許可が得られなかったとしても、原則的に相談料・着手金・予納金が返金されることはありません。
これらは裁判所への申立て作業費用ともいえ、申立て前には様々な準備があることの対価として使われるからです。
そして④の報奨金です。
手続きが成功した場合に発生し、依頼時に支払いの規定を設けている費用です。
ただし、費用は事務所によって大きく異なることはなく、どちらかといえば相談者の依頼内容(資産状況による個人再生委員の有無)に左右されて金額に差が出ているのではないでしょうか。
そのため、相談の際には自身の資産状況を正確に伝えることで、おおよその費用が分かり、支払の安心に繋がります。
相談の際には費用の面もしっかりと踏み込んでおくとよいでしょう。
個人再生の費用を抑える方法
さて、個人再生の費用は、債務整理の中で一番高額になる傾向があるとされています。
そのため、2章では少しでも費用を抑えることができる方法をお伝えします。
司法書士に依頼する~弁護士との違い~
まず、弁護士ではなく、司法書士に依頼することで費用は抑えられます。
司法書士に依頼することで、留意するべきことは司法書士と弁護士では業務範囲が異なり、場合によっては手続きを中断しなくてはいけない状況が想定されることです。
また、弁護士であれば書類作成から債権者や裁判所とのやりとりまで手続き全般を代行できますが、司法書士が可能なのは「書類作成の代理」のみです。
仮に裁判所に呼び出されるなどがあった際は、自身で対応しなくてはいけないため、仕事の都合などを考え、弁護士・司法書士どちらかに依頼するか考えるようにしましょう。
法テラスを利用する~利用できる方~
次に、法テラスは利用することを検討しましょう。
法テラスは国が設置した無料の相談窓口です。
経済的に困窮しており弁護士や司法書士への依頼費用を工面できない方の支援を主な目的としています。
この法テラスの業務の一つである「民事法律扶助」を活用すれば、個人再生の手続き費用を安く抑えることが可能になるのです。
民事法律扶助制度では、無料で法律相談を受けたり、必要に応じて弁護士や司法書士の費用を立て替えてもらったりすることも可能です。
そのため、手元にまとまったお金がなくても個人再生手続きができることになるため、安定した収入が無い場合などに利用を考えてみましょう。
費用を分割で支払うときの注意点
最後に、費用を一括で支払うことができない場合の対処法として、分割払いをお願いするときの注意点をまとめました。
弁護士・司法書士の中には、分割の支払いを認めて受任してくれるところもあるため、分割払いにするための注意点とはどのようなことか理解が必要です。
再生計画で返済が予定される月額以上支払う能力が必要である
まず、再生計画で返済が予定される月額以上支払う能力が必要であるということです。
これは個人再生の免責が下りた時を想定した考えになります。
個人再生で5分の1にした債務を原則三年間で支払うため、そもそもこの金額を分割払いで払えないとなると、申し立てをしても許可が下りないと判断されます。
つまり言い換えると全くの無収入または、返済に充てられる金額が少なすぎる状態であると断られてしまいます。
※現在無職であるなど生活に困窮している場合は生活保護・法テラスも併せて調べるようにしましょう。
(Q.持ち家があるときの生活保護は?)
支払い終えなければ申立てが遅れる
もう一つは、支払い終えなければ申立てが遅れるということです。
分割払いをしているとなかなか予納金(着手金)が貯まりません。
そのような状態では申し立ては開始できず、基本的には分割払いが完了したら申し立てを行ってくれることになります。
つまり急ぎで個人再生の免責許可が欲しいならば一括で費用を支払うことが近道なのです。
自己破産の検討が必要になる
また、場合によっては自己破産の検討が必要になります。
先述しましたが、個人再生を行うには原則安定した収入が必要だからです。
その名の通り、再生計画であるため、毎月の返済が困難であるならば自己破産にて進めることがあります。
個人再生が良いのか、自己破産を選択することになるのかは専門家と相談しながら進めることになりますが、裁判所に申し立てる手続きは変わらないため、費用の相談と含めて検討することがよいでしょう。
まとめ
今回は個人再生の費用についてお伝え致しました。
費用の相場は40~60万円であり、高額ではありますが、現在の債務を整理して早期の再出発を考えるのであれば、個人再生は必要な手続きとなります。
そのため、信頼のおける専門家に支払い方法を相談するなどで、対処して取り組むことが大切です。
また、住宅ローンも併せて債務として抱えている場合は、不動産の売却かローン特則を使うのかでも大きく費用も異なってくるため、一人で抱え込まずに相談することが良いのではないでしょうか。