家族へ迷惑を掛けたくない!自己破産で気を付けるべき影響とは?

「自己破産を考えているが家族や親戚への影響が不安である。」

「妻や子供の将来にどこまで影響するのだろうか。」

「自己破産は財産を全て処分となるが、家族の生活はどうなってしまうのだろう。」

自己破産をする場合にはこのような不安を感じることは多いのではないでしょうか。

ネットやSNSなどで書かれている自己破産はどうしてもマイナスな事柄が多く、周りへの迷惑になってしまうこと、さらには人生の終わりといった「世間体」に関わる悪いイメージも存在します。

ですが、自己破産は法律で認められた生活再建の方法のひとつであるため、決して人生の終わりではなく、生活のすべてが失われるということではありません。
実際、自己破産者個人の名義のものにしか影響はなく、制度上は家族には影響はしないとされています。

また、家具などの生活必需品は残すことができ、現金も99万円までは保有が認められていることでもわかります。
このようなことから自己破産は、本来今後の新しい生活へ向けて準備することが目的であり、家族との生活は守られているのです。

ただし、一緒に暮らす以上は実生活でまったく影響がないとは言い切れないため、自己破産のもたらす影響の範囲をしっかり認識しておきましょう。

自己破産の影響は家族に及ぶのか?

自己破産した本人には、財産の没収や職業・資格の一時的な制限など一定の制限が課せられますが、家族にはこれらの制限は一切ありません。

 

自己破産しても家族の信用情報に影響しない

自己破産をしても家族の信用情報に影響はしません。自己破産は個人毎に行う手続きであり、借金というのは、あくまでも借入名義人に対しての支払い義務であるため、たとえ、妻であろうとも、支払い義務が移動したということにはなりません。

そのため、官報に記載されるのも本人のみであり、家族まで記載されることはありません。
※官報とは、法律・政令等の制定・改正の情報や、破産・相続等の裁判内容が掲載される国が発行している新聞のようなものをいいます。

詳しくはこちら>>官報とは?

 

自己破産の影響は家族の資産に及ばない

次に、自己破産の影響は家族の資産にも及びません。
本人名義である資産のみ対象となり、所有している資産(不動産や自動車)が妻の名義であった場合、処分はされないため使い続けることが可能です。

また、家族の預金に関しても原則、影響はしません。
ただし、次の場合は家族でも、本人の財産と判断される可能性があります。

① 自己破産する本人の収入を家族名義の口座に預金・貯金している場合
② 自己破産する本人の預金・貯金を家族名義の口座に移した場合

【クレジットカードについて】

クレジットカードは、破産者本人以外の名義のものには影響しません。破産者の家族は、同居しているかどうかなどにかかわらず、そのまま自分のクレジットカードを利用することができますし、新たに作ることも可能です。注意点は、破産者の名義の家族カードである場合は利用できなくなることです。

 

進学・就職・結婚にも影響はない

自己破産は、進学・就職・結婚にも影響はありません。
家族の戸籍に記載されることはないため、子供の将来に影響があることはないのです。

そして、自己破産と学校進学とはまったく関係がないので調査されることはないでしょう。
また現在通われている学校も今までどおり通うことが可能です。

※進学に伴う学費については、学資ローンの保証人になれないなどの影響がありますが、最近では低所得者世帯の学費の免除や猶予といった公的な制度が充実しています。または子ども自身の名義で奨学金制度を利用する方法もご検討ください。

 

また、就職や結婚時に関しても同様に影響はありません。

稀に、就職予定の企業が過去の官報をさかのぼって求職者の家族ひとりひとりを調査するといったことを耳にしますが、大変に手間の掛かる作業であり、まず行われることはないでしょう。

※官報には破産者の住所・氏名が掲載されます。辿っていけば家族が自己破産をしたことが知れる可能性がまったくゼロではありません。

 

自己破産が家族に影響する場合とは?

では、どんな場合に家族に影響するようなことになってしまうのでしょうか。
2章では影響する場合についてご説明します。

 

破産者の名義の不動産を持っていると処分される 

一つは、初めに述べたように個人の手続きとして処分が下される為、持っている不動産(家や車など)が破産者の名義であれば、処分されてしまいます。
家族の為に購入したマイホームであっても、もちろん処分の対象となります。
これは住宅ローンを完済していても、住宅ローンの返済途中であっても変わりません。

不動産は売却され売却益は債権者へ分配されます。
住宅ローンの残債がある不動産の場合は、任意売却または競売となり分配されることになります。

こうして、マイホームに住み続けることはできなくなり、引越しをしなくてはいけないことから、同居の家族には影響があるでしょう。

※Q&A>>自己破産を検討していますが先に家を任意売却した方が良いのでしょうか?

 

自己破産前の名義変更は財産隠しとなる(自己破産できなくなることも)

 

では、「自己破産を申請する前に不動産などの資産の名義を妻に変更してしまってはどうだろう。」と考えることもできますが、名義変更は財産隠しとみなされます。

また本人自身も財産隠しが分かると、破産法252 条免責不許可事由となり、免責が不許可とされ、返済し続けなくてはいけないという事態も考えられます。

そして財産隠しは犯罪であり、「詐欺破産罪」となる恐れがあります。10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはこれらの両方が科されます。

 

自己名義の自動車や生命保険・学資保険も同様に処分となる

不動産の処分と同様にして、自己名義の自動車や生命保険・学資保険も処分となります。

具体例①:生命保険の解約返戻金が20万円以下であれば、解約する必要はありません。
     20万円を超えているのであれば、原則として、生命保険は解約されます。 

破産管財人が生命保険を解約し、解約返戻金を債権者に配ります。

具体例②:車のローンがない状態の車の価値が20万円以上であれば、処分されます。
     車のローンがある場合は、ローン会社に引き上げられます。


自己名義でのローンが組めなくなる

次に、自己名義のローンが組めなくなるため、住宅ローンを組むことや自動車・学費ローンも信用情報が回復するまではできません。

現在お持ちのクレジットカードも使えなくなるため自己破産後の大きな買い物は信用情報が回復するまで難しいでしょう。

稀に既に持っているクレジットカードはそのまま使える場合もありますが、利用できなくなる前提としておくべきです。
クレジットカード・ETC等がどうしても必要であるときは、対処法として、妻の名義で作成できるカードを作っておくことも手です。


共有名義の財産は処分の対象となり、通帳も提出要件となる

共有名義の財産は処分の対象となります。
よくある共有名義の財産はマイホームです。
夫婦共有名義の家も破産者の持ち分については処分の対象となります。

もちろん、処分の対象になるからといってすべての持ち分を妻に移動させる行為は先述した通り、財産隠しとなるため不可能です。

また、通帳も提出要件となるため履歴を辿れば簡単にわかってしまうため他財産も含めて、共有名義の物を自己破産前に移すことはしないようにしましょう。


家族が連帯保証人であれば影響する

家族が連帯保証人である場合は影響があるため注意が必要です。
連帯保証人は、債務者と同様に責任があるため、夫が自己破産をしたとしても債務がそのまま妻に移ります。
もちろんこの場合、妻の財産も差押えの対象となります。

妻が住宅ローンの連帯保証人または連帯債務者となっていれば、妻に対して住宅ローンの全額について返済の請求が来ることになります。

このような場合は妻も、自己破産を選択せざるを得ません。
これは親せきや同居をしていない家族であっても連帯保証人・連帯債務者となっていたら同じですので、自己破産前には必ず確認しておきましょう。

 

家族へ隠すことは困難である

このように少なからず影響することがあることから、同居のご家族であると隠すことは困難となるでしょう。

家族に隠して自己破産手続きをすること自体は可能ですが、同居している家族の収入を証する書面を裁判所に提出する必要が出てきた場合や、その後の生活で家族の助けが必要になることも考えられますので、家族への理解を得て、行う事が望ましいのではないでしょうか。

 

自己破産以外の解決策

3章では自己破産に伴う影響の範囲が分かったところで、自己破産は選択できない、選択すると生活上で不便になってしまうといったときの他の選択肢を解説します。

 

個人再生で住宅を残すことができる

個人再生で住宅を残すことができます。

個人再生は債務を5分の1に圧縮をしたうえ、原則3年間(5年間)で返済すれば残りの債務を免除できる方法です。

条件などがあてはまることと、裁判所への申立てが必要ですが、どうしても今の自宅に住み続けたいといったケースに住宅ローン特約を利用することでマイホームを残すことができ、他債務の整理ができることができます。

詳しくはこちら>>個人再生とは?

 

任意整理で連帯保証人への影響を減らせる

任意整理で連帯保証人への影響を減らせます。

任意整理は裁判所を通さずに、債権者と話し合いにより分割返済を認めてもらう方法です。
債務自体は圧縮されませんが、毎月2~3万円(収入や債権者によって異なる)の返済をしていきます。

債務が少ない場合にメリットがあり、最大のメリットは連帯保証人への影響が最小限に抑えられることではないでしょうか。

家族の誰かを連帯保証人としてしまっていた場合は、影響を避けるためこちらの方法の選択も考えられます。

また、任意整理では自動車のローンは払い続けるとすれば、車も残すことが可能ですので、生活上で生活を大きく変えることが出来ないときなど自己破産以外の選択の一つとして覚えておきましょう。

 

まとめ

自己破産という手続きは、家族への影響がないとはいえ、引越しを余儀なくされたり、ローンが組めない為、
急に大きなお金が必要となる場合に困ることがあるかもしれません。

このようなときに、家族や親せきに生活を助けてもらうことで生活再建がしやすいため、理解を得るのも非常に重要です。

しかし、多くの場合は自己破産への影響が分からず偏見が大きいことから反対されてしまうこともあるため、まずはご自身でしっかりと自己破産に伴う影響を理解し、家族とよく話し合いをするようにしましょう。

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