住宅ローン滞納1か月であればまだ間に合う!対処の仕方とは?
住宅ローンの返済が、予期せぬ出費が続いたり体調を悪くしてしまうことで、口座にお金を入れることが出来ず、滞納になってしまうこともあるかもしれません。
滞納になってしまう原因は、給与口座を変更した場合や、単純に口座残高の確認不足などのうっかりが考えられ、誰にでも起こり得ることです。
そんなとき、頭を過るのは、
「競売になってしまう?」
「何か失ってしまうことはあるの?」
「会社に知られてしまう?」など、不安が募ることもありますが、実は1か月の滞納であるのならば、直ぐに対処をすれば大きな問題になることはないのです。
滞納1か月であれば、基本的に督促があったとしても、「いつまでに払うのか」を明確に伝え、支払う意思があることをしっかり伝えれば大丈夫です。
とはいっても、楽観視し過ぎも要注意です。
なぜなら、滞納してしまった事実は記録としては残っており、今後に影響することもあるからです。
この影響することは知っていなくては取り返しのつかないことになりかねません。
今回の記事では住宅ローンの滞納1か月で起こることを確認し、今後の影響と対処法をお伝えしていきます。
住宅ローン滞納1か月で起こること
まずは、住宅ローン滞納1か月で起こることを確認していきます。
金融機関から督促の手紙や電話がくる
滞納すると、金融機関から督促の手紙や電話が最初にあるでしょう。
ローン引き落とし日に引き落としができなかったことと、いつまでに遅れた分を支払ってくださいといった内容が届くようになります。
お知らせには、「支払請求書」と呼ばれ、圧着はがきタイプで送付されることがほとんどです。
直接住んでいる自宅への厳しい取り立ては、この時点では発生しませんので、支払請求書が届いたら、無視せずに中身をしっかり確認しましょう。
引き落とし口座の残高不足などで返済日に引き落としができなかった多くの場合が、翌月の引き落としの際に2カ月分をまとめて引き落とされます。
繰り返すと信用情報に傷が入る可能性がある
繰り返すと信用情報に傷が入る可能性があります。
仮に、一度滞納をしても、直ぐに返済を行っていれば、信用情報には登録をされないことがほとんどです。
しかしながら、たとえ数日であったとしても何度も延滞を繰り返すと、銀行から悪質だと判断され信用情報に傷が入る恐れがあります。
一度入ってしまうと5~10年は登録されているため、ローンを組んで金額が大きいものを買いたいと思っても、審査の目が厳しくなり難しいでしょう。
この信用情報への登録は信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に共有されているため、住宅ローンとは別の金融機関でも影響を及ぼします。
その後クレジットカードが使えなくなることがある
その後クレジットカードが使えなくなることがあります。
先述した通り、信用情報は日本にある信用情報機関は3つありますが、各機関で情報を共有しています。
銀行やクレジット会社は信用情報機関に情報提供しているので、登録されている情報が分かると、今まで使用していたクレジットカードが使えなくなってしまうのです。
もちろん、新たにクレジットカード作ろうとしても同じように情報照会で分かってしまうので、連続した滞納には気を付けなくてはいけません。
返済額に遅延損害金がつく
返済額に遅延損害金がつきます。
遅延損害金は、借金の返済が1日でも遅れると発生し、滞納した金額を返済するまで発生し続けます。
そのため、放置していると借金完済までの総支払額が増え続けます。
滞納時に発生する遅延損害金は、元金に対して年14.6%の利率に設定している金融機関が多いです。
例えば、
毎月の返済:12万円(利息分1.5万円・元金返済分10.5万円)
滞納期間:10日間
遅延損害金は、10.5万円✕14.6%✕10日÷365日の計算式で算出します。
損害遅延金は420円となります。
1日あたりの損害金はまだ返済が可能ですが、月では1,260円であり、さらに2か月支払いが出来ていない場合は元金と合わせて、約24.2万円も一括で返済しなくては元に戻せません。
伸ばし伸ばしにしてしまうと、あっという間に膨らんでしまい、1回の給料では返済することができなくなってしまいます。
滞納してしまったらどうしたら良いのか?
滞納してしまったらどうしたら良いのでしょうか。
焦らず、早急に対処すれば最悪の事態を防ぐことはできるかもしれません。
遅延損害金を含めて返済をする
まず、「遅延損害金を含めて」返済をすることです。
忘れがちになりますが、毎月の返済額のみを口座に入れ安堵していても損害金が返済できていないため、まだ滞納していることになってしまいます。
落ち着いて、支払請求書の期限までに支払いまたは、残高不足を解消しましょう。
さらに遅れそうなら金融機関に連絡をする
さらに遅れそうなら金融機関に連絡をする必要があります。
今後も支払いが難しいのであれば、自ら借入先の金融機関へ電話するなど、自主的な行動が今後に繋がります。
場合によっては、金融機関側から督促の電話がかかってくることもありますが、今後の返済計画は金融機関との話し合いで決めることになるので、督促の電話を適当にせず、誠実に対応しましょう。
ちなみに、延滞後3カ月~6か月が経過すると、金融機関から催告書が送られてきます。
催告書は競売申立てなどの法的手続きを行うための前提となる、いわば最終警告です。
指定された期日までに支払わない場合には「期限の利益が喪失」する旨が記載されるなど、今までよりも強い表現で返済を求める文書になっています。
滞納を3か月以上続けないようにする
3カ月以上延滞をすると、残高を一括で支払うよう請求される可能性が極めて高くなり、最終的には法的手段に移行することもあるため、3か月以上の滞納はしないように気を付けましょう。
期限の利益を喪失しないことが大切である
つまり、「期限の利益を喪失しないことが大切」であるのです。
貸しているお金が決められている日に返済されない場合、これは金消契約でした約束を破ることになります。
そのため、契約違反と見なされて「期限の利益」を喪失し、その時点での残債務(ローン残高)を債権者は債務者に対して約束されたローンの支払い(分割払い)ではなく、一括返済を求めることができるようになります。
この後、債権は保証会社に移ってしまい、後戻りはもうできません。
(詳しくは>代位弁済するとどうなるのか?)
保証会社に移っても、支払いが無くなるわけではなく、後日、保証会社から代位弁済の通知と一括返済の請求が届きます。
つまり今後は保証会社に対して返済することになるのです。
いずれにしろ、この時点で一括返済と言われても返済できないはずですので、この「期限の利益」を守ることがポイントです。
金融機関とリスケジュールの相談する
また、同時に金融機関とリスケジュールの相談をしてみましょう。
住宅ローンのリスケジュールとは、銀行と相談し、一時的に月々の支払額を減額してもらうことです。
減額の内容としては、契約年数を延長する、月々の元金支払額を減額する、という方法があります。
住宅ローンリスケジュールの2つの方法を下記のとおりです。
・返済期間の延長
・一時的な返済猶予
この2つを提案してもらい、自身の収入状況に合わせることになります。
また、住宅ローンのリスケジュールが行うためには条件があり、病気などが原因であり、一定期間を乗り越えたら安定した収入が見込める場合、出費の原因が明確であり、資金不足が一時的なものであると説明できる場合、新たな借り入れの予定がないことなどが前提です。
支払いが遅れて競売に繋がることを想定する
今後の影響の一つとして、支払いが遅れて競売に繋がることを想定しておく必要があります。
期限の利益喪失事由に該当しているため競売に繋がる
期限の利益喪失事由に該当しているため競売に繋がることがあるからです。
一般的に住宅ローンが払えなくなり、滞納が起きている状況は、債権者からすると「金銭消費者契約」での信頼関係に破綻している」項目に該当し、期限の利益を喪失することが可能です。
(詳しくは>期限の喪失事由)
期限の利益喪失後は(代位弁済してしまうと)、粛々と競売に向けて準備が進められます。
競売になってしまうと、インターネットのBITに競売物件として住所が公表され、入札という方法で購入者を決定します。
そして、購入者から引越しの要求をされた場合、時間や引越し費用が無くても、拒むことはできません。
さらに、競売では通常の売却より安く買われてしまうため、自宅を失っても多くの残債があり、改めて債権者から一括での返済を求めらてしまうので、競売は最も避けたい売却方法と言われます。
遅延損害金が膨れ上がることで支払いができず競売に繋がる
遅延損害金が膨れ上がることで支払いができず競売に繋がってしまうと想定しましょう。
1章でお伝えした通り、借金の返済に1日でも遅れると、遅延損害金が生じます。
遅延損害金は支払い予定日の翌日から日ごとに加算されるので、できるだけ早期に滞納状況を改善するなどの対処が必要ですが、期限の利益を喪失すると、遅延損害金は、借入残高に基づいて計算されます。
つまり、現在借入残高が2100万円なのであれば毎月の返済額に関わらず2100万円が起点となって計算されます。
そのため、遅延損害金は予想以上に高額になりやすいという事実があるということです。
具体例を見てみましょう。
【遅延損害金の一般的な計算式】
借入残高✕遅延損害金利率✕延滞日数÷365
2100万円×14.6%×183日(6か月)÷365日=1,537,200円
約153万円の遅延損害金が上乗せされており、とても一括では返済できなくなるはずです。
支払いが出来ず競売になりそうであれば任意売却を考える
どうしても返済ができない場合は競売になってしまうため、任意売却を検討してみましょう。
任意売却は一般的な市場で不動産取引を行うため、売却価格にさほど変わりはありません。
これにより、売却後に少ない債務の返済で済むなど利点がありますが、他にも任意売却には競売にない以下のような様々なメリットがあります。
① お金の持ち出しが無い
② 競売価格よりも高く売却できる可能性が高い
③ 引越し費用を捻出してもらえることがある
④ 引越し時期も所有者の意向に沿ってくれる
⑤ 残債も毎月無理ない範囲内での分割返済(通常5,000~30,000円程度)が可能
明確に違う点は、債権者からの同意を得ながら販売活動をしなければいけないため、債権書によって、任意売却は認めないこともあることです。
しかしながら、早い段階で任意売却の専門業者に相談するようにしましょう。
(詳しくは>競売を避ける方法任意売却とは)
まとめ
住宅ローンの滞納は1か月しても問題はありませんでしたが、本来、滞納する前に、住宅ローンの支払いが厳しくなった時点で、借り入れしている金融機関に相談することがおすすめです。
仕事が変わるなどで、一時的な収入の減少や、休業中の滞納などであれば、まずは利息だけ支払うことや返済期間を延長してもらい、月々の支払金額を減らしてもらうことも可能な場合があるので、そのままにせずに相談することは大切です。
現在の状況であれば、まだリスケジュールや通常の売却を視野にいれながら、解決策を考えることができるはず。
万が一、リスケジュールや完済が不可能であるならば、一刻も早く行動し、先の支払いの困難が予測できるのであれば、任意売却の相談もしてみましょう。