税金滞納の時効は事実上ない!?税金を払わなくてはいけない3つの真実


今あなたが税金を滞納してしまっていたとしたら、この税金に時効はあるのでしょうか。

「税金には時効があるのだから、払わなくてもよくなるのではないか」と思われがちですが、実際には払わなくてもよくなる例はほぼありません。

なぜなら、税金の支払いは国民の義務であるということと、時効は中断されることによって成立しないため、きちんと支払う必要が出てくるからです。

ここでは、「もしかしたら払わなくても済む方法があるのではないか」と思われている方に、税金を払わなくてはいけない3つの真実をお伝えします。

 

滞納税金の時効は5年間であるが、時効になることは事実上ない

まず初めに税金の滞納についてですが、税金は支払期日を1日でも過ぎた場合は、滞納となります。
そこから税金滞納の時効は「5年間」と法律で決まっています

ただし、基本的にはこの時効になる5年目を迎えることは無く税金の免除はされないと思いましょう。
なぜなら税金滞納後は、税務署から通知や督促、差し押さえなどが行われることで時効の中断となるからです。

この税金には様々な種類があり、例えば「住民税」「自動車税」「法人税」「所得税」などが挙げられます。

会社員のかたで「所得税」は給与明細から自動的に引かれているため、払い忘れるということはないと思いますが、特に注意が必要なのは自身で納付をしなくてはいけない固定資産税や、自営業の方の所得税などです。

この納付期限が過ぎると、通常20日以内に督促状が送られ、時効は中断されます。

 

税金の時効とは

では、そもそも税金の時効とは何なのか。
税金の時効とは、国が、税金を徴収する権利を行使できなくなるまでの期間のことです。
この時効を迎えた場合は、税金の支払いは免れます。

しかし、通常は税金を支払わないでいると、税務署はこの時効が成立するまでの期間に、その税金の未納に対して処分を行うことになります。

なお、税金の時効には2種類の概念があり、1つが民法で規定されている時効で、この民法の消滅時効は5年間です。もう一つは賦課権の除斥期間で、これも5年間と定められています。

下記にて違いをご説明致します。

 

民法の消滅時効は5年間

まずは民法の消滅時効に関してです。
法律により、「国税の徴収権は、その国税の法定納期限から5年間行使しないことによって、時効により消滅する」と定められています。

そしてこの消滅時効は「中断」と「停止」をすることができます。
中断とは、「請求」「差押さえ」「捜索」「承認」「一部納付」などを行われることをいいます。

つまり、仮に「請求」や「差押さえ」があった場合は、時効までの期間はリセットされ、またその日から5年間時効とはなりません。

一般的には税務署から督促が届いた時点で時効はリセットされており、他、納付義務のあるものが納期限の延長などを行い、支払い義務を認識していた場合も中断となります。

【表1】

民法の消滅時効

時効

5年間

中断の有無

あり

中断の事由

請求、差押さえ、捜索、承認、一部納付等

 

賦課権の除斥期間は原則5年間

続いて賦課権の除斥期間ですが、原則として5年間権利を行使しないとこの権利は消滅します。

そして賦課権の除斥期間には中断という考え方はありません。

しかし、税務署はこの賦課権の除斥期間で国税の金額を更生・決定し、処分を行います。
この処分を行うことによって、法律(民法)上の時効も中断するということになりますので、除斥期間中に時効の中断事由が発生するのです。

つまり賦課権の除斥期間自体には中断はないのですが、法律で時効はリセットされ、支払う義務は続くということになります。

【表2】

賦課権の除斥期間

除斥期間

5年間

中断の有無

なし

中断事由

民法上の中断があったとき

 

還付請求も時効は5年間

もう一つ、還付請求に関しても5年間の時効が存在します。

還付請求とは、逆に税金を払いすぎていた場合お金を戻してくださいという請求です。
この権利も行使しないと5年間の時効で消滅してしまうため、注意が必要です。

例えば、年度末に会社を退職し、年末調整が行えなかった方や、住宅ローン控除で還付要件にあてはまった方などは請求しないと戻ってきません。

税金を払うことも払いすぎた分を戻すこともどちらも時効は5年間ということです。

 

督促で時効はリセットになります

さて、ここまでを簡単にまとめると「督促」が行われた時点で、時効はリセットされています。
はじめに述べたように、時効になる5年目を迎えることはほぼ100%ないと思いましょう。

督促を行うのは税務署のお仕事になりますので見過ごされることはなく時効はリセットされ、税金の支払いは逃れられないということを意味しますので、滞納する前に払うことが大切です。

 

最悪は給料・不動産の差し押さえ

この税金の督促を無視した場合はどうなるのでしょうか。

最悪のケースとしては、税金がこのまま支払われないことを避ける為、税務署が給料・不動産を差し押さえることがあります

税務署側も給料・不動産の有無を把握しており、義務を果たすまでは差し押さえるということになるのです。

もちろん、「差押さえ」の時点でも時効は中断されますが、何よりも給料を差し押さえられた場合は生活にも関わってくるため、多くの方はこの時点で税務署に相談に行かなくてはいけなくなると思います。

 

その時の対処に関して、(固定資産税を滞納したときの対処法)をご参考ください。

 

自己破産や相続しても消えないのが税金

2章では既に税金を滞納してしまっていて、どうしても払うことが出来ない。という場合も知っておかなくてはいけないことをお伝えします。

 

自己破産後も税金は返済が必要となる

まず1つ目は、自己破産しても税金の滞納は返済しなくてはいけません。

自己破産は法律で認められた債務整理の方法です。
そのため、自己破産をして背負ってしまった負債を無くすということは可能です。

ただし税金は国民の三大義務であるため、自己破産をしてもそのまま残ります。
「債務」ではないということです。

ただし自己破産した場合は税金が支払えないことは明白ですので、まず税務署に相談し、現在の状況を理解してもらいましょう。
そして、支払い期間の猶予や分割払いに応じてもらえないかお願いをすることをお勧めしています。

 

滞納金は相続の対象となる

2つ目は、税金の滞納金は相続の対象となってしまいます。

税金を滞納しているがそのまま支払えずご自身が亡くなったら、滞納した税金は無くなると思われがちですが、そのまま相続人に相続されます。

相続では、「資産」も「負債」も対象となるからです。
もちろん相続の時に放棄することは可能ですので、あまりにも負債となる税金や他債務があれば相続放棄をするということになります。

一番やっかいなのは、不動産(土地や戸建て)を所有していた場合です。
不動産は資産ですので相続したいが、滞納した税金は放棄します。という別々の選択は不可能なので奥様やお子様に相続したい不動産がある場合は特に注意が必要になります。

 

本当に怖いのは高い延滞税

さて、税金にはもう一つ気を付けなくてはいけないことがあります。
それは、一般的な高利貸よりも高いとされる延滞税があるということです。

 

延滞税とは

延滞税とは、税金を定められた期限までに納付できない時に、原則納期限の翌日から日数に応じて、利息が自動的に課されることをいいます。

税率は、納付期限の翌日から2ヶ月経過する日を境に大きく変わり、

納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までは、年「7.3%」か「特例基準割合+1%」のいずれか低い割合となります。(※平成26年1月1日以後の期間)

納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後は、年「14.6%」と「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い割合となります。(※平成26年1月1日以後の期間)

このように、納付期限の翌日以降は非常に高額で恐ろしいものです。

 

延滞税の時効も5年間である

延滞税に関しても、時効は定められていますが、本税と同じく5年間です。

納期限の翌日から本税は滞納になり、延滞税も翌日から発生するため、時効までの期間は同じであると捉えて大丈夫です。

延滞税に関しても中断は生じますので、延滞税が支払わなくてよくなることもほぼ100%ないでしょう。

 

まとめ~滞納した税金の対処~

税金の滞納は必ず払わなくてはいけないことをお伝えしましたが、最後に滞納した税金の対処法に関してまとめました。

対処法としては、

1.まずは優先して支払う

2.誠実な対応で役所に分割払いの相談をする

3.役所にて支払い猶予を相談する

4.資産(不動産)などを売却して返済に充てる などを行いましょう。

早めの対処によって最悪のケースを避けられることにも繋がります。
税金の支払いは免れることがないと認識し、優先していただければと思います。

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