Q:自己破産すると近所や会社、親族などに知られてしまいますか?
多額の借金を抱えてしまい、住宅ローンの返済もこれ以上は返済できない状態です。
自己破産して一からやり直そうか考えているのですが、破産すると職場や親族、近所の人にバレててしまうのでしょうか。
また、妻に子供に影響が出ないか心配です。
目次
自己破産は他人に知られてしまうか?
住宅ローンや借金の返済ができず自己破産をした場合、会社や親族、近所の方々に知られてしまうことはあるのでしょうか。
先に結論から言うと「知られてしまう可能性はゼロではない」というのが答えです。
では知られてしまうケースとはどのようなケースなのか解説します。
自己破産すると官報に掲載される
まず、自己破産をすると名前が「官報」に掲載されます。
官報とは、行政が発行する刊行物です。
官報は、直近30日分に限りインターネットで配信されます。
また、古いものは国立国会図書館や一部の図書館で閲覧でき、各都道府県の官報販売所で購入することも可能です。
官報は上記の方法で誰でも閲覧できるため、そこに掲載される以上は自己破産をしても100%他人に知られることはないと言い切ることはできません。
官報以外への掲載や記録はない
一般の人が見ることのできる範囲において、自己破産の情報が官報以外に掲載されることはありません。
離婚と同じように戸籍に記録が残ると勘違いをされている方も多いようですが、これは誤解です。
また、住民票などの公的書類にも記録は残りません。
官報を見られることはあるのか?
では現実的に官報を見られて他人に知られる可能性はあるのでしょうか。
これは、実際にはほとんどないと言ってしまってよいでしょう。
わざわざ毎月官報のネット配信をチェックしている方や、図書館に行って調べるという方はまずいないはずです。
従って、他人に知られてしまう可能性は「ゼロではないが極めて低い」というのが質問の答えとなります。
ただし、下記のような職業や状況の方は知られてしまう可能性があるので注意が必要です。
職場に知られてしまうケース
職種によっては官報を定期的にチェックしているところがあります。
例えば以下のような業種の方です。
・公務員
・旧国営系の会社(JR、ゆうちょ等)
・金融系(保険含む)
・警備会社(破産により資格停止になるため)
また、社員個人名義で会社を通じてクレジットカードを作っている会社(主に出張が多い会社などで)も破産によりクレジットカードが利用停止になるため会社に知られてしまう可能性があります。
近所に知られてしまうケース
官報を見られる以外の理由で、直接的に自己破産したことが近所に知られてしまうことはありません。
しかし、賃貸ではなく持ち家を所有している場合は要注意です。
家を持ったまま自己破産の申立をすると、自宅が競売にかけられてしまいます。
競売にかけられてしまうと、情報がインターネットに掲載されてしまううえに、執行官が自宅を訪問してきます。
また、競売情報を見た不動産会社が見に来たり、近所にチラシを撒いたりするため、自己破産すること自体は知られなくても自宅が競売にかけられたことは近所に知られてしまう可能性が高いと言えます。
従って、子供がいる場合など近所に事情を知られてしまうとまずい場合は、先に自宅を任意売却してから自己破産をしたほうが良いでしょう。
家族への影響
自己破産することによる家族への影響を心配される方も多くいらっしゃいます。
家族へ直接的な影響はない
特にお子様の進学や結婚に影響が出ないかという心配をされる方が多いようですが、直接的な影響はありません。
前述の通り戸籍や住民票に掲載されることもなければ、家族の信用情報まで傷がつくこともありません。
もちろん、自分以外の家族の資産を取られることもありません。
また、官報を見られない限りは親族に知られることもありません。
間接的な影響としては、例えばご自身の名義でお子様の学資ローンを組んだり、奨学金の連帯保証人になることができなくなります。
連帯保証人がいる場合
自己破産することによるご家族への影響はありませんが、連帯保証人になっている場合は話が別です。
連帯保証人がいる場合、自己破産をするとその債務が連帯保証人に請求され、その人に支払義務が生じます。
本人が自己破産をして連帯保証人が支払いをできない場合は、連帯保証人の資産が差し押さえられる可能性がありますので、特に親が連帯保証人で持ち家を所有している場合などは事前に相談をしておくべきでしょう。
まとめ
自己破産の情報は官報にしか掲載されないため、他人に知られてしまうことはまずありません。
そのため、返済が苦しく今後も返していける見込みがない状況に陥ってしまった場合に、「他人に知られたくない」という理由で自己破産を躊躇しているのであればそこまで気にする必要はないでしょう。
ただし、前述の通り一部の職業や持ち家がある場合、連帯保証人がいる場合などは十分に留意して検討する必要があります。